投資情報フィスコ、5億円ワイン会社買収の裏側 親会社シークエッジのファッションブランド「CoSTUME NATIONAL」元オーナーが関与


※追記:記事中にて、バーサタイルがCoSTUME NATIONALの商標権を7億円で取得し、17年10月に減損処理したと記述しておりましたが、18年12月7日付IRにてCoSTUME NATIONALの商標権約9億円が減損されたことが公表されており、17年10月に減損された商標権は全く別のIRされていないものということが判明しました。その部分を訂正するとともに、読者の皆様にお詫び申し上げます。12月9日

■勤労感謝の日の3連休を控えた11月22日の午後8時半、ジャスダック上場で、投資情報サービスの株式会社フィスコ(港区、社長・狩野仁志)とその子会社ネクスグループが、一通の適時開示を出した。フィスコが2013年5月に親会社シークエッジインベストメントから486百万円で取得したコンサルティング会社、㈱バーサタイルを解散したのである。連休前の宴会などで気がつかなかった関係者も多いのではないだろうか。
■企業分析を売り物とするフィスコにおいて、バーサタイルは矛盾が多い会社である。取得後のフィスコのコンサルティング事業セグメントは赤字続きであったし、近年にバーサタイルを通じて行われたM&Aは不可解である。2015年9月、バーサタイルはイタリアのワイン農園「MEC S.R.L. SOCIETA’AGRICOLA」を575百万円で取得した。
■しかし、取得後間もない2017年10月、フィスコ及びネクスグループは、MEC S.R.L. SOCIETA’AGRICOLAに係るのれん424百万円を減損した。フィスコ傘下で行ったワイン会社買収の原資はネクスグループからの借入金で調達しており、ネクスグループのバーサタイルへの貸付金は、15年11月期900百万円、16年11月期930百万円、17年11月期2,405百万円、18年11月時点で2,785百万円と巨額に膨らんでいる。
■「ワイン事業」はフィスコにとって新規事業であり、5億円という取得価額は過去に開示されているM&Aに比して巨額にも関わらず、MEC S.R.L. SOCIETA’AGRICOLAの取得はIRされず、有報の注記がされただけであった。取得後もワイン事業の具体的な説明は殆どない。開示情報で実態が不明のなか、当サイトは、MEC S.R.L. SOCIETA’AGRICOLAの会社情報を入手した。
■それによると、2015年12月期時点の利益剰余金は465,857€(約60百万円)であり、同期の売上高は99,163€(約12百万円)で、最終利益は△158,273€(20百万円)の赤字。06年の創業から60百万円程度の利益の蓄積はあったのだろうが、5億円とは割高感が拭えない。2016年12月期も赤字で減収、2017年11月期の売上高は5,049€(60万円程度)で、事業が継続しているか定かではない。
■不可解さを解くカギとなる定性情報もあった。バーサタイルのMEC S.R.L. SOCIETA’AGRICOLAに対する持分は90.91%であるが、残り9%を保有するのが、CASAPA CALRO及びCASAPA ENNIOというイタリア在住の人物であることが判明した。おそらく株式取得の相手方はこのCASAPA姓の人物である。実は、彼らはシークエッジが運営するファッションブランドCoSTUME NATIONALの創業デザイナーなのだ。
■CoSTUME NATIONALについて、ファッション業界サイト『WWD JAPAN』が、2016年3月15日付で「『コスチュームナショナル』の創業デザイナー退任 日本の投資会社に会社売却」という記事を報じている。それによると、CoSTUME NATIONALのブランドをシークエッジが買収したという。現在も子会社CNジャパンを通じて、CoSTUME NATIONALの店舗を運営しているのはシークエッジだ。
■こうした事実関係を踏まえると、巨額の減損損失をフィスコ、ネクスグループに生じせしめたMEC S.R.L. SOCIETA’AGRICOLAの取得は、シークエッジのために行われたのではないかという疑惑が浮上する。
■ところで、ネクスグループはバーサタイルによるこのワイン会社の取得資金を2015年11月期中に貸し出している。同年11月期に赤字を出している同社にとって、この貸付自体、極めて冒険的な融資と言わざるを得ない。さらなる問題は、この貸付金の原資が同年3月に「M2M事業」(=IoT事業)への投資を資金使途として発行したワラント債で調達した11億円であることだ。
■ネクスグループの財務諸表を見ると、2015年11月期の第1四半期から、ワラント債発後の第2四半期にかけて、短期貸付金が1,641百万円増加している。この内、バーサタイルには900百万円、フィスコに100百万円、フィスコ子会社シャンティに260百万円、フィスコIRに160百万円が貸し出されている。この原資はワラント債発行で調達した1,165百万円と借り入れによるものである。ネクスグループの資金使途違反は明らかだ。
■一連のワイン会社への投資に、およそ経済合理性があったとは思えない。当サイトはフィスコに対し、ワイン会社の実態、シークエッジと、レセプト債事件の主役で今年3月に詐欺で有罪判決を受けた児泉一が経営していた株式会社オプティファクターとの関係について質問書を2度送付したが、いずれも一切回答がない。(つづく)
(文中敬称略)

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