■国土交通省OBによる「人事介入」で騒動となっている東証プライム・空港施設(社長・乘田俊明)だが、同社は不動産販売のTHEグローバル社(社長・永嶋秀和、東証スタンダード上場)の大口顧客の一社で、近年、ホテル投資により短期間で巨額損失を出していた。
■マンションデベロッパーであったTHEグローバル社は16年にホテル事業に進出し、ホテルを建設して子会社によるサブリース付きで販売する手法で売上を伸ばしていた。空港施設は2018年6月に、中期経営計画で掲げた事業領域拡大の一環として、ホテル事業に進出。THEグローバル社が販売する京都府内のホテル5棟を102億円で取得した。
■しかし、コロナ禍でTHEグローバル社は、ホテル購入者とのサブリース契約が逆ザヤとなり経営が悪化。SBI証券主導で、中国系のアスコットがスポンサーとなり再建が試みられたが、現在はSBIがアスコットが保有するTHEグローバル社株を引き取りSBI子会社となっている。
■ホテル購入者はホテルの収益が悪化してもサブリースにより安定した賃料収入が得られるはずであった。しかし、THEグローバル社の経営悪化に伴うサブリース契約変更により、収入減を余儀なくされている。その結果、空港施設のホテル投資に伴う減損損失は21年3月期と22年3月期の合計で46億円にものぼり、21年3月期は1995年の上場来初の赤字を計上していた。
■空港施設は今年2月末にホテルを売却し、3.5億円の固定資産譲渡益を計上している。ホテルの22年3月期時点の帳簿価格は減損損失と定期償却により46.5億円となっており、譲渡価額は約50億円と考えられる。(文中敬称略)