【ミニ情報】東証スタンダード上場ジェイホールディングス、実態不明「SDGs事業」の裏側に「テクノシステム人脈」


■東証スタンダード上場ジェイホールディングス(社長・眞野貞也)が、2020年の不正会計発覚直後に乗り出した「SDGs事業」。内実は太陽光発電所への投融資であったが、約1年後、何ら成果を上げることなく撤退するという不可解な顛末を迎えた。この取引の背景を探ると、昨年に東京地検特捜部が立件した「テクノシステム事件」の人脈が浮かび上がってきた。
■ジェイホールディングスは元々、外断熱住宅のイザットハウスを展開しているハウスメーカーであったが、2016年に住宅事業から撤退。不動産会社出身の上野真司が17年に代表に就任するも、20年1月に不動産取引を巡る不正会計が発覚し辞任。同年3月に、元SMBC日興証券で、エピック・グループ出身の眞野定也が代表に就いた
■眞野は代表就任後、不正の温床となった不動産事業から撤退20年9月に第三者割当増資を実施し約4.6億円を調達すると、増資で得た資金でSDGs事業に乗り出すとして、同年11月に熊本県球磨郡の太陽光発電所の権利を有する会社の出資持分及び債権を1.8億円の範囲内で取得したと公表した。この案件こそ、テクノシステムが実質的に持っていたものなのである。
■当サイト取材によると、20年11月17日、ジェイホールディングスは子会社アセットジーニアスを通じ、テクノシステムの関係先に、1.2億円と5000万円の合計1.7億円を支出。関係先は即座にテクノシステムに転送金したという。
■だがこの頃、テクノシステムは自転車操業に陥っており、翌21年早々には経営破綻していた。果たして、ジェイホールディングスが手にした案件がまともなものだったのか疑わしい。実際、出資から約1年間、SDGs事業は鳴りを潜め、21年10月に出資持分及び債権を第三者に譲渡するという適時開示が出された。譲渡代金は22年6月までに4分割で支払われるというが、利益が出たのか定かではない。これ以外にジェイホールディングスが手を出した太陽光案件はなく、SDGs事業は頓挫したと言える。
■一体なぜジェイホールディングスは、このような不可解な投資を実行することになったのか。その背景には、社長が個人的に手を出していた太陽光発電事業が関係しているように思われる。実はジェイホールディングスがSDGs事業に手を出す直前の20年9月、社長の眞野は、個人会社「ダイレクトマネー」を通じ、熊本県阿蘇市の太陽光発電所を「サンエレメント」という会社から取得している。サンエレメントとの代表は伊地知宣雄といい、テクノシステムと関係が深く、同社で「執行役員」という肩書も有していたという。
■ジェイホールディングスは伊地知、テクノシステムと関係が深い。現取締役の塩田卓也は、有報の経歴には記されていないが、テクノシステムの「エネルギーソリューション事業部」に属していたとされる。21年6月までジェイホールディングスが入居していた新橋スクエアビル5階には、サンエレメントも本店を登記していた。
■また、ジェイホールディングスが実施した20年10月の増資引受先のひとつで、約1.5億円を払い込んだ濱田雄史は、「プレンティー・ランドスケープ」という会社の役員とされる。同社は千葉県山武市で「アラインジャパン」という会社と共に太陽光発電所を開発しているが、このアラインジャパンは、東証スタンダード「ピクセルカンパニーズ」から2.5億円の前渡金を受け取っておきながら、返済せずに昨年破綻した先なのである。そして伊地知は、ピクセルカンパニーズの取締役であった。
■ジェイホールディングスは20年の不正会計を受け、再発防止策を策定。その実施状況を定期的に開示している。そこには、SDGs事業は、コンプライアンス規定など所定の手続きに則っていると記されているが、テクノシステム関係者との緊密な関係を見ると、SDGs事業への出資が、眞野と伊地知の個人的な取引や増資の割当先との人間関係に関連して行われたように見える。
(文中敬称略)

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