ジャスダック上場ソルガムHD、「偽計取引」疑惑が浮上


■「ハコ企業」として市場関係者にその名が知られているジャスダック上場㈱ソルガム・ジャパン・ホールディングス(ソルガムHD、社長・赤尾伸悟)は2月28日、昨年12月5日に株式交換により約520百万円で買収した運送会社・㈱アズシステムののれん約600百万円(取得価額+債務超過80百万円)を全額減損処理した。企業買収後、四半期を待たずしてのれん減損に至るとは異常というほかない。
■アズシステムは一部の金融業界で知られた存在である。「同社の親会社だったマッハ機器㈱は架空リースや粉飾決算が明るみに出た問題企業で、15年2月に倒産している。この倒産劇には“架空リース屋”として知られたブローカーの関与が指摘されており、アズシステムはそのブローカーが用いていた会社の一つと言われている。架空リースのスキームにおいてはサプライヤーとしての位置づけだった」(与信担当者)。
ソルガムHDの開示によれば、この買収案件を紹介したのは数々のハコ企業のファイナンスで登場する星野智之(KHNG㈱)である。代表的な案件として14年に上場廃止となったインスパイアー㈱が挙げられ、瀬戸際の資金調達を主導するなどしていた。だが当サイトが得た情報では、アズシステムとソルガムHDを実際に繋いだのは別のAY(イニシャル)という人物である可能性が高い。AYはオプトロム(15年上場廃止)、ジャスダック上場ピクセルカンパニーズ、同市場ジオネクストなどで名を聞くブローカーで、前出の架空リース屋と行動を共にしていた時期がある。
■このAYが2月の減損発表前に、知人にアズシステム買収に関する重要な情報を明かしていた。曰く、「アズシステム株の7割を保有しているSpeed8は、ソルガムHDによる買収の直前に約2000万円でその持株を取得した」「Speed8はソルガムHD役員・池畑潤の父である池畑勝治が用意した会社で、取得価額をあらかじめ500百万円と決めて、逆算する形で事業計画を立て、池端サイドでデューデリジェンスの段取りを組んだ」「3割を持つアズシステム創業筋は株を売れずに損をしている」とのことである。
■アズシステムの3100株のうち、33%をグリーンツリー東京㈱(社長・青木美奈=創業家)、67%を㈱Speed8(社長・木村弘司)が保有していた。17年6月期の1株当たりの純資産は約11,935円となるが、ソルガムHDによる企業価値評価ではDCF法により1株当たり166,748円とされ、Speed8にはソルガムHD株約346百万円分が割り当てられている。
■AYの話が事実ならば、それが意味するところは、Speed8(=ソルガムHD親族企業)は20百万円で手に入れたアズシステム株の企業価値評価を自ら用意した段取りの過程で膨らませ、株式交換により取得価額の約17倍・346百万円分のソルガムHD株式の割当を受けたということである。
■Speed8がソルガムHD株を売却し利益確定したかどうかは確認できていないが、そう思わせる情報が出ている。『アクセス・ジャーナル』が2月19日付で報じた記事によれば、池畑勝治は昨年末、知人のブローカーに〈来年1月中にソルガムと『山佐』というパチスロメーカーが業務提携をする〉などと話し、暗に株の購入を勧めていたとのことである。
■株式交換をめぐる一連の行為は、証券取引等監視委員会が過去に“偽計取引”として摘発した事案に似通っている。例えば08年に事件化したアイ・シー・エフ事件では、買収対象会社の企業価値を架空取引により過大評価させた上で株式交換を実施し、株式交換比率が適正に算定されたかのように公表したこと等が「偽計」とされた。
■アズシステムの企業価値を過大にしたのは、予め設定した買収価格にあわせた、現実味のない事業計画に基づく株価算定であり、架空取引によるものではない点がアイ・シー・エフの事案とは異なる。この点は11年7月、大阪府警捜査2課が摘発したゲームソフト販売会社「NESTAGE」偽計取引事件に近い。NESTAGEは09年2月期末、債務超過を回避するためにコンサルタント会社クロスビズを割当先して、不動産現物出資による第三者割当増資を実施した。ところが、評価額約1300百万円とされた出資対象不動産は増資実施の一か月前に約16百万円で取得されたものだった。虚偽の不動産鑑定書を用いて客観的価値にそぐわない現物出資を行い、これを適正価格と公表したことなどが「偽計」とされ、不動産鑑定士も逮捕されている。
■今回のソルガムHDによるアズシステム買収においては、株価算定を担当した第三者機関は、東京フィナンシャルアドバイザーズである。AYは知人に「こんなデューデリをできるのは能勢のところしかない」とも述べている。当サイトは東京FAに取材を申し込んだが、「担当者不在」とのことであった。
■東京FAと星野智之がコンビを組んだ案件は、ワールドロジ、石山ゲートウェイホールディングス、メッツ、T&Cメディカルサイエンス等々、粉飾・不公正ファイナンスの疑惑を伴う企業が多い。アズシステム買収では、東京FAの株価算定報酬の他に、星野が2500万円の仲介手数料を手にしており、2人はこの案件の数少ない受益者と言える。(文中敬称略)

参考資料:金融庁「不動産現物出資制度を悪用した偽計事件について」

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