東証二部RVH、増収増益の裏で旧ミュゼプラチナム混迷極める 金融機関などの負債80億円に対しRVH側「1億円」提示


■筆者が昨年の今頃に「東京アウトローズ」において追及した、脱毛サロン最大手「ミュゼプラチナム」運営会社ジンコーポレーション(旧ミュゼ)の巨額簿外負債疑惑だが、振り返ればこの約一年間で状況は大きく変わった。スポンサーとなったRVH(東2:6786)が発表したところによれば、簿外負債は587億円とのことで、記事で指摘した「600億」という数字にほぼ近かったことが明らかになっている。当初は多くのマスコミ、金融機関等は半信半疑で「孤独な闘い」だったが、時間をかけて一定の結果を見ることができた。
■RVHのスキームは、巨額の負債を抱える旧ミュゼのバランスシートは連結させず、役務消化の損益だけ連結するという都合のいいものだ。2016年 3月期決算は売上18,069百万(前期比245.6%)、営業利益2,822百万(495.0%)と大幅な増収増益だ。しかしながら、旧ミュゼの状況は混迷を極めている。
■負債だけ残された形となった旧ミュゼに対して、金融機関や広告代理店などは約80億円の債権を抱えているが、バンクミーティングに出席したRVH社長の沼田英也らは債権者に、「1億円だけしか返せない」と提示したという。16年3月には、三菱UFJリースの社員が都内の店舗を訪問し、脱毛器に所有権を示す表示を貼付していったという。旧ミュゼは昨年に脱毛器のリースバックで資金調達をしていたが、そのリース料も滞っているのだ。ミュゼで働く女性たちはさぞ混乱したことだろう。
■このような中、16年5月には旧ミュゼが過年度に支払いすぎた法人税の還付金約50億円から社会保険料を除いた分を、RVH側で受け取る旨を発表した。元々、必要運転資金が多いわりにキャッシュが少なかったRVHにとっては恩恵だが、還付金を返済に回さないのであれば、金融機関との関係はより悪化すると思われる。
■労使間の紛争も熱を帯びている。ミュゼ従業員に加入を求めている「エステ・ユニオン」には、数十人の社員が参加しており、15分単位で切り捨てられた未払賃金支払い等を求める団体交渉を行っている。すでに渋谷労働基準監督署から支払いの勧告を受けているが、管轄外の地域の社員に対しては支払わないなど、小手先の抵抗を続けているという。
(文中敬称略)

2015年6月1日付:東京アウトローズ「脱毛サロン最大手「ミュゼプラチナム」の(株)ジンコーポレーションに純資産を吹き飛ばす『巨額簿外負債』の可能性、解約が相次げば「売上マイナス」か」

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