【連載】ゲオホールディングスの闇(2)幹部が吉川社長時代の利益操作を暴露 店舗売却による〝益出し”で過去最高益達成か


■来る6月28日開催のゲオホールディングス株主総会で、吉川恭史取締役が専務に昇格する予定だ。吉川は07年に一度社長に就任したが、09年に任期途中にもかかわらず降格させられているため再登板と言える。株価低迷が降格の理由で、社長就任直前の株価は2000円台だったが、任期中は最低500円台まで低迷していた。吉川の功績といえば、任期中の08年3月期に経常利益を10,175百万円(前期比48%増)と過去最高益の100億円台に乗せたことだ。

幹部が吉川社長時代の“利益操作”を暴露

■だが、08年3月期の「最高益」が経営陣が指示した利益操作により作られたものであることが、訴訟の中では暴露されているのである。当時のゲオ執行役員が陳述書で証言している。
■〈吉川恭史氏の代表取締役社長就任後にゲオの業績が悪化したことを受け、平成19年10月頃、期末までに店舗の売却により10億円程度の「益出し」を行いたいと指示され、売却対象とする店舗の選び出しや売却価格の検討を行いました。これを私に直接指示したのは沢田氏で、沢田氏が吉川氏の意向で動いていたのかどうかまでは分かりません。
 ゲオにおいては、私の知る限りでも、故遠藤結城氏の生前の平成12年頃から、このような決算上の「益出し」の目的での店舗の売却が頻繁に行われており、私は、その当時から売却対象とする店舗の選び出し等に関与しておりました。平成20年3月期の益出しの際に店舗の選び出し等を指示されたのも従前から私が担当していたためです。(中略)平成20年3月末までに、合計8店舗が売却され、同期の決算において10億円程度の店舗売却益が営業利益として計上されました。
 翌期も業績回復の見込みが立たなかったため、同様に「益出し」目的で売却する店舗が選び出され、平成21年3月末までに合計10店舗が売却され、同期の決算においてもやはり10億円程度の店舗売却益が営業利益として計上されました〉(中略は筆者)
■関係者の話を総合すると、ゲオにおいて行われていた「益出し」は、収益性の高い直営店舗の営業権と商品を、DCF法に近い計算方法によって評価した価格で売却し当期の売上とすることで、一店舗当たり1億円前後の売上と利益が計上できるという。傍目には店舗が直営からフランチャイズにかわっただけで商品は動かない。また、「益出し」により「売却」された店舗の賃借人はゲオのままであり、売却価格の支払いも5,6年と長期にわたって割賦で払うという契約だったという。当然、これを「売上」と認識できるかについて議論が分かれることになるが、当時は同業種最大手「TSUTAYA」運営のカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)も同様のアグレッシブな会計手法を取り入れていたため、ゲオの監査法人のトーマツも是認したという。
■ただ、陳述の内容が事実であれば、吉川の場合は株価が低迷していた背景もあり、「業績悪化」という利益の過大計上に突き動かされる明らかな動機を持って「益出し」を指示していることになる。
■08年3月期のバランスシートを見ると、売上高が225,708百万から246,202百万と0.9%の増加に対し、延払売上債権は771百万から1,890百万と10億円(145%)ほど増加している。09年3月期の場合は、四半期ごとの営業利益を見ていくと1Q・1,331百万、2Q・3,290百万、3Q・2,837百万、通期10,225百万となっている。第3四半期だけでは△453百万の営業損失を出していたようだが、吉川降格、森原哲也社長就任後の第4四半期中に急激に業績が回復している。これらの観点から、「翌期も業績回復の見込みが立たなかった」などの証言と事実が一部符合している。

将来的な買い戻しも予定

■「益出し」は、直営店を売却しFC店とすることによる事実上の利益の先食いであるため、中長期的にゲオの連結決算を縮小させることにつながる。真に売却したのであれば致し方ないが、賃借人はゲオのままであれば実質的にゲオ支配下に置かれていることは変わりない。さらに、将来的な買戻しの計画も立てられていた。
■〈直営店舗の減少は、ゲオの収益力の低下につながりますので、益出し等の目的で売却した店舗についても、ゲオの業績が回復した際に何らかの形で買い戻すこともできるような工夫がなされていました。
 本件リスト記載の店舗の多くが、全くの第三者ではなく、社員独立制度を利用するなどして元社員に売却されたのも買い戻しを念頭に置いたものです。社員独立制度による独立を希望する者は従前からいましたが、平成20年と平成21年の「益出し」の際には、ゲオとしても、将来の買戻しを見据えて、買戻しに協力してくれるような特にゲオと関わりが深い者を人選し、かつ、候補者に「益出し」での売却と将来の買い戻しの意向を伝えて売却先を決めました
■つまり店舗売却による「益出し」は、営業権や商品の所有権が形だけ移転しているに過ぎず、実質的にゲオによる支配は継続していることになる。この収益認識が経済的見地から正当かどうか大いなる疑問が残るわけで、吉川体制で実現した08年3月期の華々しい業績を額面通り受け取る事は出来ない。(続く)
(文中敬称略)

2016年6月10日付レポート:【連載】ゲオホールディングスの闇(1)遠藤社長、吉川取締役による粉飾決算「インデックス」への利益供与の過去 沢田元社長VS遠藤の訴訟資料で判明

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です