米系PEファンド・ベインキャピタルが仕掛ける東証一部「広済堂」MBO、関係者が「単なる身売り」と指摘


■出版・印刷業中堅の廣済堂(社長・土井常由)が17日に公表した、米系PEファンド・ベインキャピタル(日本代表・杉本勇次)と組んだMBO(マネジメント・バイアウト)を巡り、関係者から批判の声が噴出している。廣済堂は傘下に収益の安定した火葬場運営・東京博善㈱を有しているが、本業の出版印刷事業が改善せず、株価の割安状態が続いていた。廣済堂はベイン傘下で非公開化し、印刷事業の改革などを目指すという。
■ベインキャピタルによる買付価格は610円で買付総額は約152億円であり、同社の純資産460億円を大幅に下回っている。一見ベインキャピタルにとってお買い得なこのTOB、表向きはMBOの形式を取っているが、社長の土井を始め経営陣は買付主体のビーグル「㈱BCJ-34(及び親会社BCJ−33)」に関与していない(適時開示では「予定」とある)。廣済堂の内情を知る者の間では、今回の買収劇を「単なる身売り」という声がある。
■「廣済堂の発表では、6月末の総会で社長に就任した土井さんが、2カ月もたたない8月上旬に単独での経営改革に匙を投げ、9月に金融機関の紹介でベインと知り合った、というトントン拍子のシナリオが書かれていますが、実はベインとの接触は土井さんが社長になる前から続いていた。土井さんは三井石油の元社長で印刷業の経験はなく、人材紹介会社の紹介で入社し、廣済堂なんら実績を挙げていない。MBOを成立させるために社長に担がれたのであって、実態はMBOというよりベインキャピタルとメインバンクの三井住友銀行主導の買収です」(前出・関係者)
■なお廣済堂の適時開示によると、1月8日にエイチ・エス証券㈱から7.38%の廣済堂株式を取得し、12.39%の筆頭株主・澤田ホールディングス㈱はMBOに応募するとのことである。しかし、肝心の創業家であり前記の株取引以前まで筆頭株主であった櫻井美江のスタンスが不明であり、複雑な背景がありそうだ。(つづく)
(文中継承略)

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