【ミニ情報】「乗っ取り騒ぎ」に揺れたジャスダック上場五洋インテックス、旧経営陣が反撃 専務を「私文書偽造」で刑事告発


■仕手グループとの繋がりのあるとされる勢力が創業家から経営権の取得に動き、今年春頃に一部メディアで「乗っ取り騒ぎ」が取り沙汰されたジャスダック上場「五洋インテックス」(愛知県小牧市、社長・宮原雄一)。結局のところ、改元の大型連休最中の4月28日(日曜日)に開催された臨時株主総会で旧経営陣が追放され、ロックハラード証券社長・西岡正城らの関係者が経営権を握った。だがその後も、追放された旧経営陣側が今年8月、専務取締役・梅野巧実を「私文書偽造」で刑事告発するなど、紛争は燻り続けている。
■告発人は元々五洋インテックスの連結子会社だった医療事業会社の㈱キュアリサーチ(東京都中央区、社長・関根 秀博)。同社は元社長・大脇功嗣の資産管理会社・大倉商事が4月19日に、五洋インテックスへの貸付金9000万円の担保としてキュアリサーチの全株を質権設定していた。告発状によると、五洋インテックスが1回目の支払期日の4月26日に返済しなかったため、27日(土曜日)に質権を実行し、大倉商事が100%株主となったという。
■ところが、翌28日の臨時総会で成立した五洋インテックスの現経営陣が、自社がキュアリサーチの100%株主であるとする虚偽の株主総会・取締役会議事録使い、5月6日(月曜日、振替休日)に役員変更登記等をしたとして、同社代表就任した梅野が私文書偽造・同行使や法務局を欺く虚偽登記にあたると主張している。告発状は8月13日付で警視庁麹町署に提出された。
■五洋インテックスはキュアリサーチを巡る事案について、6月27日付適時開示「連結子会社の異動及び特別利益の計上に関するお知らせ」で弁明している。それによると、〈2019年5月7日、2019年4月26日に第1回目の支払期限が到来したものの、旧経営陣が意図的に支払いを行わなかったため、債権者である大倉商事より、大倉商事が質権を実行した旨の通知を受領しました〉として、総会や取締役会の時点では質権実行を知らなかったと暗に述べた上で、旧経営陣の質権設定契約が利益相反だったと批判している。
■つまりこの事案の争点は、改元の10連休(4月27日~5月6日)にどのようなやり取りが行われたのかということになるだろう。この点、4月28日に新しく就任した宮原や梅野は、質権実行を知らなかったニアミスという線もあり得る。
■だが、借入や質権設定が実行された旧経営陣時代から役員に就任している名井博明(社外取締役、15年6月~)、久野真一(社外取締役、18年6月~)、加藤英雄(常勤監査役、18年6月~)、河内孝(社外監査役、18年6月~)は、キュアリサーチの役員の異動がコンプライアンス違反とならないよう適切な注意力を働かせていたか、疑問が残る。五洋インテックスはキュアリサーチによる告発状提出について、「弊社としては、訴えが受理されたという通達がなく、何ら確定的な情報が得られておりませんので、お答えしかねる状況です」と答えた。
(文中敬称略)

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