■当サイトは、来月1日発売の月刊誌『ZAITEN』(財界展望新社)に「日本ペイント田中社長『恩返し』の情実」と題する記事を寄稿した。田中正明・三菱UFJフィナンシャルグループ元社長が19年3月に東証1部日本ペイントの代表に就任した後、相次いで実施したオーストラリア、トルコなどでのM&Aや、筆頭株主のシンガポール投資会社ウットラムへの第三者割当増資について言及した。
■“倍返し”ならぬ“恩返し”―――。日本ペイントは、田中がMUFG退社後にシニアアドバイザーに就いていたPwCグループに、田中が代表になってから企業買収・内部統制のアドバイザリー業務を委託しており、2度のM&Aで支出したアドバイザリー費用約20億円はPwCに支払われた可能性が高い。M&Aのアドバイザリー費用は買収価額が高ければ高いほど大きくなる。田中にとって、日本ペイントがM&Aで高値掴みをしてリスクを抱えても、PwCへの“恩返し”は果たせている。
■また日本ペイントは昨年8月、ウットラムからアジア合弁会社の持ち分を取得すると同時に、同社に第三者割当増資を実施し、ウットラムの傘下に入った。田中は日経新聞などで「買収したのはこっちだ」と主張しているが、、取締役会と株式の過半数を握られている以上、どう逆立ちしても身売りにしか見えない。この取引でも60億円ものアドバイザリー費用が発生している。ZAITEN編集部は日本ペイントにアドバイザリー費用の支払先や、PwCとの契約の経緯を質問したが、「個別の事案にはお答えしない」と回答しなかった。(文中敬称略)