【おくやみ】『東京アウトローズ』代表が死去


■情報サイト『東京アウトローズ』の主宰者・奥村順一こと、中川一政が5月15日朝、死去した。享年63歳だった。
■中川は北海道出身。雑誌『財界展望』(財界展望新社、現・『ZAITEN』)編集者を経て、2002年、資本的・組織的背景を持たない個人らの意思で、情報サイト『東京アウトローズ』を立ち上げた。
■詐欺や粉飾、企業スキャンダルなど、専門知識が必要で、取材のハードルやリスクが高い分野で、他の追随を許さない報道を展開し、経済ジャーナリズムの新しい地平を開いた。中川らが東京アウトローズの十数年で暴いてきた不正は数多ある。
■筆者が東京アウトローズに参加したのは2014年だ。その頃、東証マザーズ上場のエナリス粉飾決算事件を追及し、社長の辞任などの結果を勝ち得たが、これは中川のバックアップによるところが大きい。
■当時エナリスは筆者らに対して、巨額訴訟を予告する内容証明等により揺さぶりをかけてきたが、中川は断固として記事を撤回せず、あくまで言論で勝負し、不正を明らかにした。長年の実践と経験に裏打ちされた戦術だった。数少ない「闘い」を知る編集者・ジャーナリストだったと思う。
■肺腺癌だった。2018年6月頃から肺に水が溜まる症状を訴え、精密検査の結果、19年6月に肺腺癌ステージ4で余命1年との宣告を受け、闘病中だった。

(文中敬称略)

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