ジャスダック上場ピクセルカンパニーズ(コード2743)、新株予約権の行方に注目


■無許可で「民泊」を営業していたと7月13日に旅館業法違反で警視庁下谷署により書類送検されたジャスダック上場ピクセルカンパニーズ(社長・吉田弘明)。報道によると連結子会社ハイブリット・ファシリティーズは2015年6月から無許可民泊を営んでいたとのことだが、民泊事業の推進が開示されたのは16年2月だった。
■今、同社が15年9月に発行した新株予約権の行方に注目が集まっている。同社は英領バージン諸島の「BENEFIT POWER INC.」(BP社)に対し1株216円、1,389千株を発行し約3億円を調達(運転資金に充当)するとともに、新株予約権(1個100株、行使価格240円)をBP社に25,000個、株式会社ソラが組成する後方支援投資事業組合に20,840個を割り当てた。合計45,840個で行使された場合の調達額は約11億円で、M&A資金に充てるとされていた。
■だが発行から約1年経った現在までに行使されたのは11,340個で、調達できたのは2億7千万円程度である。にもかかわらず、16年3月以降に㈱ビー・エイチ、中央電子工業㈱、LT Game Japan㈱の三社のM&Aを敢行、合計11億2千万円の対価が支払われた。
■今月8日、後方支援投資事業組合が保有する新株予約権12,500個が吉田弘明の組成するA-1投資事業有限責任組合に譲渡された旨が開示された。同組合への吉田の出資比率は0.3%に過ぎず、真の所有者が誰なのか謎だ。また、22,000個を保有しているBP社の「ZOU DAOJI」も、開示では「中国人の資産家である投資家」としか説明がなく、こちらも正体不明と言わざるを得ない。
■ちなみに、16年3月に買収を発表した中央電子工業の持株会社であるフジブリッジ㈱の代表取締役は、15年5月まで東証二部に上場していたハコ企業、エル・シー・エーHD藤井隆徳であった。藤井はジャスダック上場モジュレの代表取締役も務めており、同社は7月20日に16年5月期決算の遅延を開示している。また、かつてフジブリッジの実質オーナーには藤井とともに「古橋貴彦」という人物がいたが、旧姓は吉崎といい、プライムシステム(07年上場廃止)、アーティストハウスホールディングス(09年上場廃止)、HAMフィナンシャルグループ(09年倒産)などの曰くつき企業の役員を務めてきた。
■現在の筆頭株主である松田健太郎も、同氏が代表取締役を務めていたクルールホールディングスが上場廃止となったグローバルアジアホールディングス㈱(旧、プリンシバル・コーポレーション)に13年末頃まで資金提供を行っており、松田自身も14年に執行役員に就任していた。ハコ企業に絡む複雑な人間関係がピクセルで交錯しているのである。
(文中敬称略)

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