【ミニ情報】旅行大手エイチ・アイ・エス「GoTo不正」の裏側 首謀者と目されるホテル運営会社「JHAT」の意外な背景


■昨年末、旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)子会社2社が、観光支援事業「GoToトラベル」の給付金を不正に得ていたことがTBSの調査報道部により明らかとなった。HISが12月末に公表した調査報告書や報道によると、HIS子会社2社はいずれも、HISで08年から17年まで代表取締役を務めていた平林朗が経営するホテル運営会社・㈱JHATから不適切な取引を持ち掛けられるなどしていて、JHATは今回のGoTo不正で中心的な役割に位置付けられる。
■JHATは、インバウンド狙いの新興ホテル運営会社であるが、サブリース会社という側面をもつ。同社は、自社でホテルの物件を保有せず、物件オーナーから一括借り上げしている。そして、当サイトの取材では、JHATが運営するホテルの物件はすべて、投資用不動産販売会社の第一リアルター(代表・奈良田隆)が関与する不動産であることが分かった。
■第一リアルターはJHATの株主で、2社とも、本店を港区・虎ノ門の神谷町トラストタワー25階に置いていた。JHATが東京と京都で運営する20棟のホテルのうち、3棟は第一リアルターが持つ物件、残りは第一リアルターから大和証券の私募リートや、みずほリースの不動産子会社などの投資家に譲渡された物件を賃貸している。信用力の高い平林が経営するJHATによるサブリース付き物件とあれば、投資家にも人気があったと思われる。
■JHATのホテルを保有する投資家は様々だが、中でも大和証券系の私募リート「大和証券ホテル・プライベート投資法人」はホテル6棟を保有しており、他の投資家に比べ投資額が大きい。大和証券グループ本社はJHATの株主でもある。JHATが取り組んでいた「医療従事者等への客室支援プラン」に対し、大和証券グループ本社が500万円を寄付したことが同社の社会貢献として紹介されたこともある。JHATは短期間での上場を目指していたとのことで、グループを挙げての付き合いがあった模様だ。
■当サイトは第一リアルターに対して、JHATの親密な関係先であると断定し、どのような関係にあったか取材を申し込んだところ、同社は「第1に、JHATに対する出資については、その比率は7%程度に留まっており、いわゆる大株主ではございません。第2に、本店所在地についても現在は異なります(JHATは令和4年1月5日付で移転しました)。第3に、当社が開発したホテルの運営を複数棟JHAT社に任せた事実はございますが、これまで当社が開発したホテルのうち一部にしかすぎません。当社がこれまで開発したホテルの運営は10社以上のホテル運営会社が行っており、JHAT社は当社にとって数多くある取引先のうち一社でしかございません。以上から、当社がJHAT社と極めて親密な関係にあったという貴殿のご指摘は、事実と異なるものと考えております」と回答。
■その上で、「当社は今回の件で相当な風評被害を受け、さらに各方面に対する対応を余儀なくされる等、既に多くの不利益を被っており、当社としては極めて遺憾であるといえわざるを得ません。当社としては、JHAT社に対する法的対応も検討しているところです」とし、「JHAT社は、設立当時多くの名だたる企業から出資を受けた会社であることからして、当社としても強い成長性を感じ、その後も誠実に取引を継続してきたにもかかわらず、今回の件で、一方的に裏切られたと思っております」とコメントした。
(文中敬称略)

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