動画配信サービス「DAZN」日本法人代表・中村俊、ハコ企業「省電舎」での行状 社長なのに社内で孤立、風説の流布も


■右が中村俊
■右が中村俊

■今月25日開幕のサッカーJリーグの全試合をインターネットで中継、有料配信するサービス「DAZN」で、開幕初日から視聴できないといったトラブルが発生し、話題となっている。運営会社の英国動画配信大手パフォーム・グループは、2100億円でJリーグの10年間の放映権を取得したとのことだが、巨額投資は出だしから躓いた形となった。
■一連の騒動で、パフォーム・グループの日本法人代表としてマスコミ各社で登場をしているのが、中村俊という人物だ。登記簿上の代表者はジェームズ・ラシュトンのみで、如何なる経緯で「社長」と呼ばれているかは不透明だが、問題は中村がかつてハコ企業「省電舎」で不公正ファイナンスを推し進めた張本人ということだ。
■中村は平成25年6月に省電舎社長に就任した。当時、同社は平成20年3月期から5期連続の経常赤字を出しており、平成24年末に入社した中村にお鉢が廻った。経営危機に瀕していた省電舎は26年3月、ライツ・オファリングにより資金調達を試みたが、権利行使割合は25%と事実上の失敗。
■さらにライツの資金使途であった「静岡案件」(食品リサイクル業者と連携したバイオガス発電施設の設置)が、同年11月に資源エネルギー庁から事業スキームが認められず、また事業用地の確保も難航し、11月末時点で案件は完全に破綻したのだ。
■ところが、省電舎は12月26日に「ライツ・オファリングの行使結果を踏まえた現状のバイオガスプラント事業スケジュール及び当社の事業方針について」と題する適時開示を出し、その中で〈今後、静岡案件につきましては、2015年1月頃より申請に係る費用、2015年6月頃より建設に係る費用の支出開始を予定しており、本建設に係る費用支出は2016年2月頃まで継続する見込みであります〉として、あくまで案件がうまくいっているような説明を続けている。これは、嘘だ。
■社内では「案件はもう終わったのだから、ダメになりましたと開示すべきだ」という声があった。それでも開示を強行した背景には、当時に省電舎に関わっていた投資会社・Oakキャピタルと新たなファイナンスの交渉中であったことが挙げられる。
■当初はOakキャピタルに案件の破綻を隠して資金を出させようとしただろうが、Oakキャピタルも「他にバイオガス、水素関連で何か出せるものはないか」等と株価を高騰させるようなIRを省電舎側に要求していたという証言がある。事業実態はともかく、とりあえず株価を高騰させるという目的で、両社の利害は一致していた。
■こうした社内の行状を、実は中村自身よく知らなかった可能性が高い。中村は翌年、平成27年3月10日に静岡を1人で訪問、「静岡案件」で提携先だった企業の社長に「社内から情報が上がってこないのでよく分からないのだが、本当に静岡案件はだめなのか」と聞き込んでいたという。
■その際に面会した提携先の社長は、案件の破綻に伴い省電舎との契約解除を申し入れたという。3月19日にも省電舎を訪問し、契約の解除を申し入れた。中村と省電舎の役員が応対し、2時間ばかりの話し合いで契約を解除することに合意した。
■ところがその2週間後の4月3日、「第三者割当による第1回無担保転換社債型新株予約権付社債及び第5回新株予約権の発行に関するお知らせ」が開示される。そこには、Oakキャピタルを引受先とするファイナンスの資金使途に、相変わらず「静岡案件」が載っているのだ。この点は一連の経緯を踏まえ、中村も確信犯だったと言わざるを得ない。
■省電舎の開示を受け、4月5日に『東京アウトローズ』で案件が破綻している事実を公表したが、これに対応する形で省電舎が出してきたのが7日付の訂正IRである。資源エネルギー庁からの指摘を認めたものの、案件が破綻していることは認めていない。関係者によると、このIRはOakキャピタルが中村に命じて出させたものであるという。もうこの時点で、会社の実権は完全に中村の手から離れていたものと思われる。
■最終的に増資は中止され、中村は4月20日に社長を辞めたが、これほど分かりやすい風説の流布が行われたのに、金融当局はほとんど動かなかった。ある意味、中村が唯一幸運だったのはこの点である。だからこそ、「DAZN」日本法人の社長に成り遂せたのだろう。
(文中敬称略)

2015年6月9日付『東京アウトローズ』:【真相レポート】 マザーズ上場「省電舎」のエクイティファイナンス中止の裏側、「IRを出せ」Oakキャピタルが突きつけた数々の要求

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