【ミニ情報】東証マザーズ上場予定「旅工房」、12位株主に破綻した「てるみくらぶ」元幹部


■今月18日にマザーズ上場予定の旅行会社「旅工房」(主幹事:大和証券※訂正しました)の株主に、3月末に破綻した旅行会社「てるみくらぶ」の元幹部がいることが分かった。第12位株主の山内明人は2006年に「てるみくらぶ」関連会社の役員に就任、2015年末まで親会社「てるみくらぶホールデングス」の取締役副社長という実質ナンバー3の座に就いていた。旅工房の取締役にはハコ企業「リミックスポイント」元社長の国重惇史が就いており、上場を間近に控え、新たなレピュテーションリスクとなる恐れがある。
■山内と旅工房の関係は「当社取引先の代表者」と目論見書に記されている。これは山内が代表をしている2015年10月設立の「トラベルストーリー」という航空券予約サイトの運営会社を指すと思われる。旅工房は、山内及び「てるみくらぶ」との関係について、「担当者不在」としている。
■旅工房は「てるみくらぶ」と同様に安価な旅行商品を販売している。同業のHISの旅行事業の営業利益率は2015年10月期が2.63%、2016年10月期が1.94%に対し、旅工房は2015年3月期0.52%、16年3月期1.06%と半分程度だ。「てるみくらぶ」の場合は粉飾されていることに留意する必要があるが、2015年9月期0.98%、16年9月期0.59%と同水準であった。

■「てるみくらぶ」の内情について付言すると、社長の山田千賀子は約3000万円の役員報酬を受け取り、住宅も社費で賄っていた。かつて筆者が報じた『ミュゼプラチナム粉飾事件』と同様に、粉飾決算の裏で経営者が高額報酬を受け取る構図がここにもあった。
■社長は記者会見後に雲隠れしており、同社代理人の西村あさひ法律事務所の弁護士を通じて3月30日、従業員全員に出社命令が出された。「顧客対応を命ぜられているのですが、被害に遭われた方から『殺すぞ』『社員全員首を吊れ』と言われるばかりで、みんな精神的に限界寸前です。益永高吉会長は一か月ほど前から会社に姿を見せなくなり、社員のほとんどは報道で初めて破綻を知りました。未だに社長からは何もありません」(従業員)。
■同社の破産申立書では、社員は全員まだ破産していない親会社からの出向扱いになっている。破綻後も継続して顧客対応に当たらせる魂胆でそうしたのだろうが、従業員の労働債権は破綻した「てるみくらぶ」の方に計上されており、この“出向”は詐術的なものだ。既に各社が報じているが、詐欺に近い形で資金集めをしていた同社に対して、当局がどのように対応するか、あるいは何もしないか注目だ。
(文中敬称略)

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