【ミニ情報】「豊田建設事件」に巻き込まれた愛知の優良企業「アバンセコーポレーション」、本社ビル差押えの悲劇


仮差押えを受けた本社ビル
差押えられた本社ビル

■豊田建設――経済事件を取材する記者ならば一度は耳にしたことがある会社名だろう。東北復興工事を巡る検察のターゲットとして昨年の暮れ頃から浮上する中、同社顧問が「謎の死」を遂げるなど劇的な展開をしたが、捜査の「入り口」だった金融屋・花岡香の在宅起訴(貸金業法違反)で幕引きを迎えそうだ。豊田建設は今年2月、2回目の不渡手形を出し倒産、痛み分けのような形となった。この一連の修羅場に手を出したことが災いし、いまや本業さえも脅かされる事態になっている優良企業がある。愛知県で人材派遣を営む「㈱アバンセコーポレーション」(アバンセ、社長・林隆春)だ。
■非上場のアバンセは村田製作所の請負を中心とした人材派遣・請負業で平成27年の売上高は76億円。契約社員を合わせた社員数は1300人、地元の日系ブラジル人を積極的に採用。グループ会社では中部地方で介護施設を20施設以上運営している、愛知県ではそれなりに知られた存在だ。関係者の間では近々に上場も噂されていたが、そんな優良企業に今年3月、本社ビルが差し押さえられるという尋常ならざる事態が発生した。
■債権者として登場したのが、「福島復興サービス」である。ことの発端はアバンセが一昨年末に乗り出した福島県相馬市での作業員向け宿舎の運営だ。元々この計画は、ゼネコン・大成建設が元請となる復興事業の作業員の住宅需要を当て込んで、福島復興サービスが借地権を持つ土地に寄宿舎を建設し、豊田建設が建物を取得・運営するというものであった。福島復興サービスの関係者が証言する。
■「この相馬市の寄宿舎は300室で、一部屋日額5000円で貸したとして最大で月額約4500万円の賃料が入る。そこから施設の維持費など約1000万を差し引いた収益を豊田と福島復興サービスで山分けする計画だった。大元は国(=元請の大成建設)の復興事業なので、高い稼働率を長期的に維持できることが見込まれた。そこに一昨年末、資金繰りに困っていた豊田建設がアバンセの林社長を口説いて、約8億円で寄宿舎を売却。豊田建設が宿舎の運営を継続し、アバンセには維持費を除いた月額約2000万円を支払う話がついていたようだ。アバンセは十六銀行から7億円の融資を受け、借地権なしの宿舎を取得した」
■有り体に言えば、国・大成建設をトップにした利権構造に「一丁噛」したわけである。だがアバンセが乗り出してほどなく、金融屋・花岡香と豊田建設がお互いの不正を当局にタレこみ合う“刺し合い”を演じることになる。間もなく花岡が相馬の寄宿舎に追い込みを掛ける事は容易に想定された。そこで一計を案じた豊田建設は、宿舎に入居していた作業員を追い出してしまったのだ。
■「おそらく花岡に知られていない場所に寄宿舎に作業員を移すことを考えたのだろう」(前出関係者)。貧すれば鈍す――急場しのぎは長続きせず、ほどなく倒産。アバンセには作業員のいない借地権なしの寄宿舎と銀行負債が残ったという。
■そこに福島復興サービスから借地料相当額の請求が起こされた。アバンセとしては「騙された」と言いたいところだろうが、支払いを拒んだ結果として本社に仮差押えの登記が打たれ、企業全体の信用を大きく失墜させる事態に陥ったのである。
(文中継承略)

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