湘南信用金庫が“冒険的融資” 未認可の残土処分場に巨額融資


問題の残土処分場入り口付近、写真奥に広大な残土が積まれている
問題の残土処分場入り口付近、このさらに奥に膨大な残土が積まれている(撮影・筆者)

■横浜、横須賀、三浦など神奈川県の東部と南部を地場とする湘南信用金庫が、千葉県市原市の残土処分場に担保価値を大きく上回る“冒険的融資”を実行したとの情報が得られた。この残土処分場は、10年以上前から住民との紛争が絶えないコンプライアンス上の問題を抱える上に、残土事業の許認可はまだ下りておらず、回収可能性に重大な疑義が生じる恐れがある。
■現場は千葉県市原市と木更津市の境目にある「真里谷ゴルフ場」跡地である。この残土処分場の運営会社だった㈱エヌ・ティ・エル(NTL)はかつて、「終日終夜24時間、1日ダンプ400台」と意気込み、平成13年9月から16年にかけて許可量の2倍の残土を運び込んだ。当時の記事によると、堆く積まれた残土がなんども崩落するような、悲惨な状況だったという。千葉県は残土条例に基づきNTLの事業許可を取り消した。この処分場の事業者はNTLのままだが、県から新しい許可が出ず残土の運び込みは行われていないという。

楕円内が残土処分場
楕円内が残土処分場

■内房総のローカルな騒動から10年以上経った昨年、この土地が動いた。2月に「不動産業振興協同組合」理事長・三橋圭一らの関係会社に名義変更され、6月に神奈川県の㈱リアルランドエステートという業者が取得したのである。
■内情を知る関係者が解説する。「同社は神奈川県で解体業を営んでいた上関浩が、知人と2人で創業した会社。神奈川県内で宅地造成開発をやっていたようだ。残土とは縁もゆかりもない。この土地で残土事業をやるためには土地の整理や新たな用地の確保をする必要があり、リアルランドエステートにそれだけの資金力はないが、上関は『湘南信金に横浜高校野球部時代の知人がいるから大丈夫だ』と嘯いていた。まさかと思っていたが…本当に6億円の融資が実行された」
■実際、同年9月に湘南信用金庫が土地の一部に極度額4億2千万円の根抵当権を設定。さらに今年2月、同信金が追加で3億円の抵当が打たれ、極度額は7億2千万円に膨らんだ。リアルランドエステートが保有する土地は約29万平米(約88,000坪)で、坪単価約8,000円程度の評価ということになるが、似たような小湊鉄道沿線地域の坪単価は1,500円程度だ。地元の不動産会社は「あの地域では坪5000円以下が妥当だろう」と言う。
■「そもそも、住民の反対や環境汚染などのコンプライアンスが煩い建設残土事業を、銀行の全面バックアップで行うなど聞いたことはない確かに残土事業は儲かる。例えばこの土地で900万立米の残土を運べば、1立米1,000円の料金なら90億円は売上として入る。だがそれは認可が出たらの話で、許可前の融資はあり得ない。上場会社なら事業融資としてあり得るだろうが、リアルランドエステートのような会社にそれだけの信用力があるとは思えない。それなのに今、周辺土地の借上げなどのために融資が実行されている。なぜか?それは社長と湘南信金の支店長が横浜高校野球部の先輩・後輩の間柄にあるからだろう」(前出、関係者)

土砂等の埋立て等に関する標識
土砂等の埋立て等に関する標識

■処分場の事業者の掲示は未だNTLで、事業者変更の申請を県に行っている最中とのことだ、許可が本日まで出ていないことは確かだ。残土事業を行う立場から見れば、市原市は規制が緩く稼ぎやすい。地元住民は「隣の木更津市は半径2キロ圏内の住民の賛成がなければ残土事業はできないし、君津市は県外の残土を持ち込めないが、市原市はなんでもありだ。今の市長は残土規制をやると言って当選したが、結局はなにもしていない」と嘆いている。
■しかしながら、隣の袖ヶ浦市では今年3月、残土条例の改正案が10対11のギリギリで否決されており、自治体の規制は予断を許さない状況だ。今回の残土処分場を巡る動きについて住民は寝耳に水といった様子で、近隣住民と後々めんどうな紛争を起こす可能性もある。また、リアルランドエステートをはじめとした残土処分場を推進するグループ内で内紛が起っているとの情報もあり、事業リスクは高い。
■残土事業への融資を巡っては平成13年に、千葉県の銚子信用金庫が残土処分場の購入資金として2億2千万円を銚子市内の水産物加工会社グループに融資したが、15年に同グループが残土事業の申請を取り下げ全額回収不能になったことで、千葉地検が特別背任で信金幹部らを逮捕・起訴した事例がある。
(文中敬称略)

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