東証一部・ランド、「簿外物件」発覚、前期第1四半期からのバランスシートに重大欠陥


松谷昌樹社長
■松谷昌樹社長

■4月22日、「EVO FUND」を引受先とする最大296%の希薄化を伴うファイナンス実施を開示した東証一部上場のランド(8918)の決算書に、仕入れたはずの物件がバランスシートに計上されていないという重大な欠陥があることが分かった。ランドは2015年5月末に、港区の不動産会社㈱リブテックより、都内の3物件を総額1,655百万で取得する契約を締結し、同月内に当該土地建物の登記変更が行われている。ところが、15年5月末の今期第1四半期のバランスシートに、本来この取引により発生したはずの資産及び負債が計上されていない。
■ランドがリブテックから仕入れた物件は下記の三つ。
港区物件 総額370,000千円、手付金139,400千円
台東区物件 総額380,000千円、手付金20,600千円
千代田区物件 総額905,000千円、手付金5,000千円
■このうち、港区物件については2016年2月末に住友不動産へ所有権移転登記がされている。土地を取得した際に対応する勘定科目はランドの場合、販売用不動産か固定資産の土地となるが、第1四半期の販売用不動産計上額は153,225千円、土地541,477千円で、いずれも総額の1,655,000千円には満たない。その後の決算短信にも取得した物件に見合う金額は計上されていない。つまり今期第一四半期以降の決算書に虚偽がある可能性が高い。
■ランドは「ご質問いただきました事項につきましては、個別の取引及び会計処理に関するものであるところ、この種の事項にかかる取材やご質問等には応じておりませんので、当社の有価証券報告書の他、リリース等の開示物をご参照いただきたく、ご了承賜りますようお願い申し上げます」と木で鼻をくくったような回答をしている。(4月11日付)
■ランドを巡っては、12年末に神奈川県警捜査2課と証券取引等監視委が合同で、利益の過大計上などの粉飾決算の容疑で本社や監査法人などを捜査したが、14年10月に監視委は調査の終了と告発の見送りを発表した。捜査当局はランドに事実上の敗北を喫した、ということだ。
(文中敬称略)

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