【続報】日系PEファンド「ユニゾン・キャピタル」、調剤薬局買収案件で「引き抜き行為」巡り、売り手企業と関係悪化か


■当サイトは今年1月、日系PEファンド、ユニゾン・キャピタル(社長・江原伸好)傘下の㈱地域ヘルスケア連携基盤(CHCP、社長・国沢勉)が、神奈川県を中心に約30店舗の調剤薬局「新成堂」事業の一部買収後、売り手の元オーナーの会社に所属する薬剤師に引き抜き行為をかけた疑いがあると報じた。その後の関係者への取材で、CHCPが売買に際して元オーナーの経営する㈱新成堂ホールディングス(新成堂HD、社長・新関一成)と交わした薬剤師の出向契約を今年2月、中途解約していたことが分かった。「引き抜き行為」を巡り関係が悪化したためである可能性が高い。
■これまでの経緯を整理すると、CHCPは昨年6月、新成堂が運営する調剤薬局の大半を事業継承により買収。一部の薬局と薬剤師は新関が経営する新成堂HDに残留した。新成堂HDとCHCPは、売却後も体制の移行をソフトランディングさせるなどの目的で、約1年間、新成堂HDのベテラン薬剤師を出向させる契約を締結した。しかし買収後、コストカットに苦戦する中で人員不足に陥ったのか、CHCPが新成堂HDから出向してきた薬剤師に引き抜き行為を行っていることが発覚した。
■1月の当サイトによるレポート公表後、CHCPはそれまで行っていた「飲み会」などにおけるやんわりとした勧誘とは打って変わり、逡巡する薬剤師に対して、同じタイミングで別の薬剤師を面接していることを仄めかすなど、硬軟織り交ぜた戦術に転換したという。そうした中で2月、出向契約が中途解約されたことで、一部の薬剤師はこれをきっかけにCHCPに移籍した。新成堂HDに残留した薬剤師が勤務していた薬局などには、これまでの新成堂では見られなかった派遣薬剤師が導入されているという。
■一般的に競合他社の社員に引き抜き攻勢をかけることそれ自体、よくあることで違法性はないだろう。しかし、企業買収案件において、売り手に売却後も一部の事業所や有力な社員を残留させるストラクチャーをとる場合、当然、それを織り込んだ買収対価で取引がなされているはずだ。一部事業の残留を前提としてディスカウントされた価格で事業を取得しながら、取引成立後、売り手に黙って社員を引き抜いてしまおうという企みは、マナー違反であるし、買い手の地位を利用した売り手企業の人材の窃取と言えるのではないだろうか。
■当サイトはCHCPに契約解除などの事実確認の質問を送付したが、今回も回答はなかった。CHCPは10年以内に病院、薬局、介護施設などを買収することで、年商5000億円の医療コングロマリットを目指しているといい、今後、日本の医療界に重大な影響を持つ企業となるだろう。
(文中敬称略)

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