【続報】証券取引等監視委が「偽計」容疑で強制調査のハコ企業Nuts、各方面に波紋


証券取引等監視委員会が金商法違反(偽計取引)の疑いで今年2月末、強制調査を実施したジャスダック上場のハコ企業Nuts(社長・中村健司)。4月には帳簿上8億円あるはずの現金の大半が消失していることも発覚し、存続が危ぶまれている。新聞報道を総合すると、監視委はNutsの2019年2月の医療ビジネスに関連する業績予想を虚偽IRと睨んでおり、医療ビジネスの実態に関係者の関心が集まっている。
医療ビジネスの実施主体である医療法人ルミニスは、Nutsと提携するまで活動実態のない法人であった。2017年の売上高はわずか640万円、2018年12月期に至っては0円で、総資産533万円と何ら見るべき実態がなく、法人の運営や資金調達は事実上、Nutsが実効支配していたと見られる。
■このような「ハコ」医療法人のルミニスを使い、コロンビア大学教授で著名な外科医の加藤友朗医師を広告塔に、Nutsは1人700万円もの会費を集める会員権ビジネスを展開していた。会費はNutsの口座に振り込まれていた。しかし、8億円もの巨額現金が消失するような社内状況で、顧客の入会金は保全されているだろうか。
■さらに関係者によると、監視委はNutsの会計監査人である監査法人元和(代表・星山和彦)にも調査を実施していたという。元和とNutsの関係は深く、18年1月にファイナンスを実施したEVO Fundは元和の紹介だった。監査法人がクライアントに増資の引き受け手を紹介するとは、あまり例のないことである。
■Nutsという銘柄は芸能界と株式市場の結節点のような側面も有していた。16年増資の引き受け手である「コロンビア合同会社」に出資していたのは芸能事務所の経営者たちである。当サイトが指摘した江東区の高層マンションを巡る不動産取引で、Nutsが物件を転売した相手方は秋元康がプロデュースするアイドルグループ「NMB48」運営会社の関係者であった。偽計容疑とのかかわりは不明だが、金融当局が問題視する相場形成で利益を得た業界人もいると思われる。
(文中敬称略)

2019年10月23日付レポート:パチンコ版権事業から「医療ビジネス」に乗り出したジャスダックのハコ企業Nuts、“架空増資”紛いの資金還流

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