【続報 第三弾】「マジックハンドを使え」--バイオマス発電の東証1部エフオン、現役社員が暴露する売電価格「不正操作」の実態


■バイオマス発電所を運営する東証1部エフオン(社長・島﨑知格)の現役社員の内部告発について、当サイトが8月13日付で報じたところ、エフオンは翌14日のリリースで報道を全否定していた16日に新たに開示されたリリースでは、昨年7月に「調査委員会」が設置されていたことは認めたものの、不正自体はなかったとしている。だが、内部通報の存在や、どのような調査手法を執り、事実認定をしたのかという肝心な部分は開示していない。
■当サイトはエフオンの複数の社員から内部告発を受けている。その内容は具体的かつ根拠がある。それを基に、エフオンにおいてどのように売電単価が操作され、どの程度の利益を不正に稼得したのかを述べていきたい。
■まず、不正行為の詳細に入る前に、バイオマス発電所で売電単価がどう決まるのかを整理しておきたい。固定価格買取制度(FIT)におけるバイオマス発電所の1kWhあたりの売電単価は、発電に使ったバイオマス燃料の構成比で決まっている。エフオン白河では、バイオマス燃料は3種類に分類されていて、間伐などで山から切り出される「未利用材」の売電単価は32円/kWh、木材加工の際に出る端材、樹皮などの「一般木材」は24円/kWh、木造建物を解体した際に出る建築廃材などの「リサイクル木材」の場合は13円/kWhとなっている。
■売電単価が高い未利用材は、森林組合などから直接購入するため建築廃材などに比して仕入れ単価が高く、山から切り出されたばかりなので木材に含まれる水分量が多い。エフオン白河では、FIT以前はリサイクル木材100%で稼働していたが、FIT移行後は水分率の高い未利用材と一般木材の比率を徐々に上げていた。だが、ボイラーの性質上、それらの燃料だけでは上手く燃えない為、リサイクル木材を一定量使用している。
■売電単価の異なる燃料が混ざっている場合、それぞれの燃料の重量から、燃料に含まれる水分の重量を差引いた木部の比率(バイオマス比率)によって、売電単価が計算されている。例えば、エフオン白河で使用していたバイオマス比率・含水率をわかりやすい数字に置き換えてみると、含水率46%の未利用材を65t、含水率45%の一般木材を15t、含水率20%のリサイクル木材を20t投入して発電した場合、含水率が多い未利用材のバイオマス比率は59%となり、一方で乾燥していて含水率が低いリサイクル木材のバイオマス比率は27%と高くなる。

水分率(%) 購入量
(t)
水分重量(t) 木部重量(t) バイオマス比率 種別単価 平均売電単価
未利用材 46 65 30.2 34.8 59.0% 32円/kWh 18.88円/kWh
一般木材 45 15 6.8 8.2 13.9% 24円/kWh 3.33円/kWh
リサイクル木材 20 20 4.0 16.0 27.1% 13円/kWh 3.53円/kWh
合計 41 100 41.0 59.0 100.0%   25.73円/kWh

(簡略化の為、熱量は除外して計算してます)
■バイオマス発電所は月に1度、燃料サンプルを外部の検査機関に提出し、使用している燃料の含水率などの分析結果を取得。それを基にそれぞれの燃料比率を計算し、その月の売電単価が決定する仕組みとなっている。ここで、外部機関に提出するサンプルを乾かしたり、水を加えることで含水率を操作するとどうなるか。例えば未利用材の含水率を減らせば32円材比率が上がり、リサイクル木材を湿らせれば13円材比率が下がり、売電単価が上昇する。例えば、未利用材・一般木材を乾かし、リサイクル木材を湿らせた場合、下記のようになる。

水分率(%) 購入量(t) 水分重量(t) 木部重量(t) バイオマス比率 種別単価 平均売電単価
未利用材 35 65 22.8 42.3 65.0% 32円/kWh 20.80円/kWh
一般木材 35 15 5.3 9.8 15.0% 24円/kWh 3.60円/kWh
リサイクル木材 35 20 7.0 13.0 20.0% 13円/kWh 2.60円/kWh
合計 35 100 35.0 65.0 100.0%   27.00円/kWh

(簡略化の為、熱量は除外して計算してます)
■翻って、バイオマス発電所の運営という事業は、発電所の出力は限られているため、営業努力によって売上が増えるものではなく、前年の経営成績を更新するのが難しい。収益性を向上させる策は、燃料の仕入単価を下げるか、稼働率を上げるくらいしかない。だが、エフオングループ発電所の年間稼働率は95%以上であり、この稼働率は年1回の定期点検で止める以外稼働する上限に近いため、これ以上稼働率を上げることもできない。燃料のコスト削減も相手次第である。そこで手っ取り早く収益向上が見込めるのが、燃料サンプルの水分率を操作することによる売電単価の向上である。
■実際、当サイトがエフオンの現役社員数名に取材したところ、始期は不明だが、2015年頃には既に、「エフオン白河」の敷地内で、社員がサンプルを天日干ししている姿が目撃されている。島﨑は社内の会議などで、未利用材比率を上げて、リサイクル木材比率を下げるよう発破をかけていた。
■「売電単価の高い未利用材を増やすと、含水率によっては燃焼効率が悪くなり、採算が悪化するおそれがあります。ボイラーの仕様にも限界があるので、建築廃材などの割合を増やすのですが、そのたびに社長から『B材(未利用材)比率を上げろ』『売電単価を上げろ』と指示が飛ぶわけです。購入量を維持したままB材比率を上げるためには、サンプルをいじるほかに選択肢はありません。実際、18年頃にはある役員が『サンプルに手を加えるのは辞めるべきではないか』と社長に進言しましたが、聞き入れられませんでした」(現役社員)
■現役社員によると、エフオン白河では、サンプルの加工は発電所の燃料受付の隣にある、分析室と呼ばれる一室でも行われていたという。社内では含水率を減らすことを『乾かせ』、湿らせることを『漬け物にしろ』と呼称。これらの含水率操作を、経営幹部は『マジックハンド』、『ゴッドハンド』と呼んでいたという。
■「議事録などには残っていませんが、島﨑社長は売上や利益を下げることなくB材比率を維持するために『マジックハンドを使え』と指示しているのは事実です。昨年の6月の壬生発電所の予算会議では、この発言に対して社員が『(不正操作を)やりすぎるとヤバいです』と、やんわりと拒絶していましたが、社長はその発言には取り合いませんでした」(同前)
■実際、昨年6月10日にあった栃木県・壬生発電所の予算会議を再現すると、下記のようなやり取りが社長である島﨑と社員の間で行われている。この会議には社長と合わせて10名弱が参加していた。

社長:いま、(燃料の購入)比率いくつだ?
社員A:いまは、B材(未利用材)が58.6%とか、C(一般木材)が23、建廃が18くらいですね。
社長:うん。だいたい6・2・2って感じね
社員A:えっと、まあざっくりそんなもんすね。
社長:これって、未来を考えた時に、どんな感じになりそうなの。6・2・2は。
社員A:僕の来年の目標というか、予定としては、B材がやはり、栃木がそんなにないんですね。なので、6割は来年の目標として、で、建廃を下げて、粗利を稼ぎたいので、建廃比率を15に落として、C材を25%に上げたいです。
社長:うん。Cナマね
社員A:Cナマになります。ほとんどが。はい。
社長:まあいいや、60・25・15ね。
社員A:はい。
社長:そうすると、燃料の使用量は、500トンはあまり変わらないね
社員A:社長、ちょっと待ってください。500トンは今の今で、ここんところ稼働してから、530くらいですよ。平均は。
社長:じゃあ480くらいにするか。
社員B:1月、4月の平均では530なんですよ。
社長:うん。
社員B:ちょっといまは
社長:それをそのまんま鵜吞みにしてもしょうがないんだよ。チャレンジ目標としてはいくつなんだよ。
社員B:そうですね。梅雨時期も経験していないので。
社長:大丈夫だよ、来年お前、いまそこにいないから。
一同:ハハハハハハ!
社長:350くらい言っといたほうがいい。
社員B:そうですね、それだと日田、白河より良くなっちゃうんで、それだとまずいかなと思いますので。
社長:じゃあ520でいいね
社員B:はい!
社長:じゃあ、ちょっとおさらいすると、(略)焚き量が平均520。で、燃料が60・25・15。
社員A:燃料はこれ、購入比率でいいんですよね。60・25・15は。
社長:それでいいよ。うん。そっから先、あとは、燃料班のマジックハンドを使ってくれや。
社員A:そこはあの、たぶん期待しないでください。そっちは。
社長:いや、そんなもんお前、猿だって教え込めば上手になるんだよ。
社員A:いや、そこは…やりすぎるとヤバいと思うんで。
社長:はい。で、あと、次がちょっと問題なんだけどさ……(以下略)

このように、燃料の使用量を下げ、仕入を抑制して効率的な発電所の操業を行うよう発破をかける一方、「マジックハンド」を使って、不正なバイオマス比率操作をするよう要求しているのである。
■社長による指示を受け、社員がサンプルを不正操作した結果、エフオンが外部の検査機関に提出したサンプルの含水率と、エフオン白河が納入トラック1台ごとに自社サンプルを採取しているデータの含水率を比較すると、外部の検査機関に提出したサンプルは後者に比べ、未利用材は含水率が低く、リサイクル木材は含水率が高いほうに振れている。
未利用材含水率グラフリサイクル木材含水率グラフ■その結果、外部検査機関の水分率結果から計算された売電単価が、自社検査結果の平均水分率から計算された売電単価を約1円/kWh程度上回っている。これはエフオン白河の売電量で乗じると、約1億円/年にのぼる。

■外部検査機関に提出したサンプルと、自社で検査したサンプルを基に、それぞれ計算された売電単価
■外部検査機関に提出したサンプルと、自社で検査したサンプルを基に、それぞれ計算された売電単価

■現役社員によると、サンプルに手を加えることによる売電単価の不正操作は、エフオン白河だけでなく全社的に行われている可能性があり、日田や豊後大野などの発電所でも、白河と同等の金額が不正に水増しされている恐れがある(つづく)。
(文中敬称略)

2021年8月16日付レポート:【続報】売電価格「不正操作」で内部告発の東証1部エフオン、反論リリースを公表

2021年8月13日付レポート:バイオマス発電所の東証1部エフオン、売電価格「不正操作」を複数の社員が内部告発 NHK『クローズアップ現代』が報道

【続報 第三弾】「マジックハンドを使え」--バイオマス発電の東証1部エフオン、現役社員が暴露する売電価格「不正操作」の実態” への5件のフィードバック

  1. こんにちわ。株保有者です。記事を見させてもらいましたが、今現時点では、やはり、アウトサイダーズさんはおかしいと思ってます。例えば、記事の理論を成立させるには、建築廃材の燃焼を、間伐材と偽らないといけません。電気料金が安くなってしまう、例えば、建築廃材などは、どこから仕入れているんでしょうか?建築廃材を受け入れるといっても、建築廃材屋から廃棄料をもらい、間伐材としての電気料金をもらわないと儲かりません。産廃業者だって、協力しているとしたら、廃棄先を隠さないといけなかったり、存在自体を無いものとしないといけません。不正年間1億円分というけど、トラックで考えると、えらい台数ですよ。1日会社前張っておけば、簡単に不自然が見つかりますよ。見つかったんですかね?ま、建築廃材屋からディベートをもらい、所長などが勝手に燃やしていたという事だったら、可能性はゼロではないですが、年間1億円だとな・・・続報待ってます。というか、一気にだしてよー!空売りで儲けてるんですか?もしくは、株を安く仕入れてるんですか?

    1. 受入燃料量をいじらずにサンプルの含水率だけ操作することで売電単価を上げているという主張でしょ。よく読もうよ。

      1. いや、例えば、実際に発電に利用した木を、間伐材50%、建築廃材50%だとするでしょ?で、エフオンは、例えば、補助金をもらう時には、間伐材60とか70に細工して、廃材は40とか30にして騙し取っていた…という話なはず。でも、記事をもるかぎり、そう言う話じゃない。究極な話、含水率を細工しても、補助金申請の時に、50、50であったら、何の問題ないじゃん。じゃあ、含水率の話って何?どう言う事?教えてくれ!という事。建築廃材を隠して受け入れる事って可能なの?トラック1台2台ならともかく、1億円分も。1台10万円だとしても、1000台だよ。1台10万円は高いけど。
        この記事、わかりにくいよ。

  2. マジックハンドとか数日前に他サイト複数に出ていたので、アウトサイダーズさんが独自に聞き出した情報ではないと感じました。テレビ番組や他サイトに記載されている内容を改めてそのまま文にしているだけですが、まとまっているので私は面白かったです。

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