DLEの「東京ガールズコレクション」中国事業に潜在するリスク アンダーゼットグループが別の「TGC」ライセンスを保有


■「東京ガールズコレクション」(TGC)の商標権と運営会社を計12億円を投じて取得した東証一部上場DLEは、中国における女性向けファッション専業EC最大手「Hifashion Group Inc.」との提携などを通じて、中国事業の強化を目指しているが、ここにあるリスクが存在している。中国にはDLEの「東京ガールズコレクション」とは別のTGCが既に存在しており、その開催権は「アンダーゼットグループ」が現在も持っている。
■中国では2011年の「TGCガールズコレクション2011・イン・北京」をはじめとした「TGC」関連イベントが開催されている。この「TGC」、実はトレンゴ・ゴーイング・コンセプトの略語で、DLEが保有している「東京ガールズコレクション」とは別物なのだ。だが、実態として東京ガールズコレクションの中国版として認識されており、日本の外務省や中国政府関係者の後援を得ている。
■TGCが北京で開催されることを報じた『日経流通新聞』(11年4月18日付)にはこう記されている。〈国内最大級のファッションイベント「東京ガールズコレクション(TGC)」が5月、中国・北京に進出する。日本の10代後半~20代の女性向けファッションの人気がアジアで高まっているため、進出を決めた。TGCの海外進出は初めて。 イベント名は「TGCガールズコレクション2011・イン・北京」で5月7日に開催する。衣料品販売サイト運営のファッションウォーカー(東京・港)と、イベント企画のF1メディア(同)から中国でのTGC開催権利を取得したアンダーゼットグループ(同・千代田)を中心とするTGCガールズコレクション実行委員会が運営する〉
■こうしたTGCを巡る中国での状況ついて、DLEは「アンダーゼットグループが保有しているのは『TGCガールズコレクション』という東京ガールズコレクション別物の権利で、商標が乱立しているという状況ではないと考えている。そのうえで、我々がTGC関連事業を中国で展開する際のリスクはないと考えている。また、商標の申請を進めると共に、中国のパートナーであるHifashionと開催に向けての動きを進めているが、そのうえでも特段、問題は生じていない」と回答した。
■だが、「TGC」をつかまされたアンダーゼットグループが、仮にTGCを中国で開催しようとすれば、紛争は避けられないと思われる。
(文中敬称略)

2016年8月16日付レポート「『現代ビジネス』が財務状況に指摘の東証一部DLE(3686)、「東京ガールズコレクション」への投資にも不透明感」

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です