【ミニ情報】ジャスダック上場KeyHolder、「秋元康関与」のインサイダー情報事前漏洩、「情報伝達・取引推奨規制」に違反か


■一連の情報漏洩を巡る関係者の相関図(当サイト作成)
■一連の情報漏洩を巡る関係者の相関図(当サイト作成)

■東証2部上場Jトラスト㈱(社長・藤澤信義)傘下でジャスダック上場㈱KeyHolder(社長・明珍徹)が6月18日、音楽プロデューサーの秋元康らに対する第三者割当及び秋元の顧問就任や、女優・石原さとみとの交際が報じられていた人物が経営するSHOWROOM㈱との提携などを相次いで開示した。株式市場にまた一つ”秋元銘柄”が現れたのだ。翌19日の株価はストップ高となり、現在も高値圏を維持している。ところが、この高騰劇が始まる2カ月ほど前に、「秋元康が資本参加する」というインサイダー情報を同社親会社・Jトラスト関係者が外部に伝えていたことが分かった。
■関係者によると、Jトラスト㈱の藤澤がオーナーのリラクゼーションスパ運営㈱オリーブスパ元役員で、住友銀行出身の四元達也が経営するデザイン会社㈱monoiiの幹部社員・Hが今年4月下旬から5月初旬頃、メッセージアプリを通じて「秋元康がKeyHolderに資本参加する」との旨を関係者に告知していたという。ウェブサイト『敬天新聞』も6月21日付で同種の告発記事を掲載しており、多方面に情報が流布されていたことが伺える。先週、当サイトはmonoiiに取材を申し込んだが、「担当者から折り返す」と述べたまま未だ連絡がない。
■問題の6月18日付の開示では、秋元康とその親族・秋元伸介、㈱allfuz社長の赤塚善洋が増資を引き受けると共に、KeyHolderが3月に賃貸借契約を締結した「新宿アルタ店」で行う新規事業を共同で進めることが記されている。先だって2月9日、KeyHolderは「㈱allfuzと(オルファス)との業務提携に関する基本合意書締結のお知らせ」を開示している。この頃から4月にかけて前出Hが流布した「秋元資本参加」が大筋合意されていた可能性が高い。
■monoiiはKeyHolderと秋元らの新規事業に参画しているものの、一介の社員であるHがKeyHolderの資本政策を知りえたのは、monoii社長の四元が長く藤澤の周囲にいたからに他ならない。すなわち、この情報漏洩の出本は発行体側である藤澤周辺と考えるのが合理的だ。
■Hのインサイダー情報により何者かが利益を得た、との事実は今のところ確認されていない。だが、13年の金融商品取引法改正で導入された「情報伝達・取引推奨規制」(下記参照)では、実際の売買が行われていなくても、他人に利益を得させる目的でインサイダー情報を流し、取引を促した場合は規則違反の対象となるとされている。秋元康が関与したこれまでの銘柄を見ていくと、㈱ブランジスタ(マザーズ)、㈱enish(東証1部)、㈱イグニス(マザーズ)等は軒並み激しい暴騰をしている。「秋元関与」の情報を伝達するのは株価への影響を見越していたからに違いなく、monoii社員の行為は情報伝達・取引推奨規制に抵触する可能性が高い。
(文中敬称略)

※参考 2013年9月12日付:金融庁「情報伝達・取引推奨規制に関するQ&Aについて」

2018年2月20日付レポート:【ミニ情報】“秋元銘柄”として知られる東証マザーズ上場イグニス 本業低迷の中、使途不明「営業貸付金」が急増

2017年1月27日付レポート:新垣結衣など所属のレプロエンタテインメント、マザーズ上場ブランジスタ「神の手」急騰相場で数十億の株式売却益を実現か

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