【ミニ情報】マザーズ上場イグニスの巨額貸付先「薄毛治療クリニック」、債務超過拡大 回収は絶望的か


■“秋元銘柄”として知られるマザーズ上場のスマホゲームアプリ開発の㈱イグニス(社長・銭錕)が、巨額の貸付を実行している可能性が高い薄毛治療クリニック運営のX会。当サイトは今年2月、X会が14億円の債務超過状態と指摘したが、19年2月期の債務超過額が27億円に拡大していることが本日、分かった。
■元々関東地方で耳鼻咽喉科医院を営んでいたX会は17年3月、千代田区に薄毛治療専門の「Aクリニック」を開業。売上高50百万円程度だったX会が、プロサッカー選手などを広告塔に立て10億円超の身の丈に合わない広告費を使い、昨年2月期に14億円の債務超過に陥った。X会はその原資の大半をイグニスから調達しており、イグニスの関係者がクリニックの運営を受託するなど緊密な関係にあった。その結果として昨年11月、イグニスは巨額の貸倒引当金を計上した。
■債務超過額が約2倍に拡大したということは、イグニスが巨額貸付金を回収する余地がほとんど無くなったということである。イグニスは昨年2月、株価高騰のトリガーとなった適時開示「子会社における自社開発大型プロジェクトに関するお知らせ」にて、VR事業の専用スタジオ建設や海外拠点立ち上げに50億円を投じると大見えを切っていたが、貸付金が戻らない今の財務状況で50億円もの支払いができるのか。
■そもそもなぜ薄毛治療クリニックなのか、なぜ一介の耳鼻咽喉科医院のX会なのか、なぜプロサッカー選手が広告塔なのか、解せない点が多いこの融資。だがほぼ間違いないのが、イグニスの融資実行の経営判断がコンプライアンス違反ということだ。
18年2月のレポートで指摘した通り、イグニスの営業貸付金原資の大半は、16年5月にドイツ銀行ロンドン支店を割当先としたファイナンスで調達したものである。このファイナンスの資金使途は広告費や人件費とされていたのにも関わらず、X会への貸付が先行していた。資金使途違反である上、会社財産に損害をもたらしている。
■また、X会が債務超過となった決算期である18年2月や、決算書が出来上がった同年4月、債務超過の登記がされた同年5月のいずれのタイミングでも、イグニスは貸付金のリスクについて開示せず、同じ頃、VR事業で派手なプレスリリースを出した直後にファイナンス実施を仕掛けるなどしていた。これが上場会社の適切な開示姿勢とは思われない。

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