【続報】マザーズ上場CYBERDYNE、川崎「ロボット施設」予定地が手付かず5年 野放図なハコモノ計画に「大和ハウス」の影


■革新的医療産業創出推進拠点予定地(19年1月撮影)
■川崎のロボット施設建設予定地(19年1月撮影)

■マザーズ上場ロボットベンチャーCYBERDYNE㈱(サイバーダイン、社長・山海嘉之)が神奈川県や川崎市と提携し、産業拠点を設置するとして2014年10月にUR都市機構から30億円で落札した京浜臨海部ライフサイエンス特区(川崎市川崎区殿町3丁目)の土地約15,000㎡が、更地のまま放置され5年が経った。UR都市機構の公募条件では、土地譲渡契約日から5年以内に建築物の建設を完了することが定められていたが、URによるとサイバーダインはこの契約を延長したという。
当サイト今年1月21日付レポートで述べたが、川崎に設置する予定の施設の総工費は、川崎市議会の議事録によると17年1月時点で146億円と見積もられていた。サイバーダインは17年11月公表の決算にて、建設費の増大を理由に計画を延期していると明らかにしている。直近期2020年3月期第1四半期のサイバーダインの自己資本は443億円あり、ポートフォリオのうち約300億円は流動性の高い現金や金融資産であるので、川崎の施設の建設だけならば資金的に問題はないだろう。
■しかし、サイバーダインは茨城県つくば市と提携して、つくば市内に川崎市のものよりさらに広大な土地を取得し、巨大なロボット複合施設の建設を予定している。川崎とつくばの双方に巨大な施設を建設するほどの余裕があるのか疑われた。

■つくば市学園の森2丁目「サイバニックシティ」予定地
■つくば市学園の森2丁目「サイバニックシティ」予定地(19年10月撮影)

■サイバーダインは15年12月、川崎の5倍以上の土地84,057㎡を茨城県から66億円で取得する売買契約を締結した。茨城県との契約では3年以内に建設を着手することが定められているが、今年10月時点で予定地は更地のまま、青々とした草原が広がっている(上写真)。サイバーダインは土地の代金をあえて分割払いにし、代金の完納を19年3月とすることで、実質的に建設時期を先延ばししているのだ。

■つくば市に建設予定の「サイバニックシティ構想」
■つくば市に建設予定の「サイバニックシティ構想」

■つくば市に建設予定の施設の総工費について、サイバーダインは明らかにしていない。しかし上の壮大なイメージ図から想像するに、数百億円規模のプロジェクトとなるのではないか。川崎とつくばの施設の建設費が、サイバーダインの現状の財政状態で許容できる金額を大幅に超過している可能性は高い。
■不可解なのは、なぜサイバーダインが本業が軌道に乗る前からこのような野放図なハコモノ建設計画ばかりを立てたのかだ。この点、川崎の用地は大和ハウス工業が「キングスカイフロント」として開発している地域の中にあり、つくばの用地はこれまた大和ハウス工業の関東最大級のショッピングセンター「イーアスつくば」に面しているという背景事情がある。サイバーダインのハコモノ計画には第2位株主・大和ハウスの影がちらついている。
(文中敬称略)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です