■今月16日発売の季刊ビジネス誌『Yen.SPA』(扶桑社)に掲載された連載「ゼニ系『裏ネタ』の眞相」に、興味深い記述がある。この企画は現役ジャーナリストの座談会形式で、ジャーナリスト金賢と、経済誌記者の龍野和雄(仮名)のやり取りだ。
〈金 話は変わりますが、旧経営陣との内紛を抱えているビデオレンタル大手が、三菱UFJフィナンシャル・グループから新規取引の停止を食らったようです。理由は反社がらみかと思われるのですが、ご存知ですか?
龍野 いま、三菱UFJは反社対策にものすごく力を入れているみたいですよ。それから確か、そのビデオレンタル大手にはいろいろと噂がありますね。一時、毎月5000万円もの怪しい資金移動があったと言われています。だいたい、ああいう商売は立地が勝負じゃないですか。しかし一般的に言って、好立地の店舗というのはそんなに空いていない。そこで、なかには暴力団を使って営業中の店子を追い出し、店舗を確保している企業もあった〉
■話題に上がった〈ビデオレンタル大手〉が、ゲオホールディングスである可能性は極めて高い。実際に遠藤結蔵派VS沢田喜代則派の訴訟において、遠藤の反社会的勢力との付き合いを問題視した三菱東京UFJ銀行が、ゲオとの関係を断ち切ろうとしていることが指摘されている。沢田が2015年9月に提出した控訴理由書より抜粋する。
〈遠藤は被控訴人の経営支配権奪取を企図していたが、控訴人沢田は、三菱東京UFJ銀行小牧支店の支店長及び担当次長と面談した際、遠藤が反社会的勢力と関係があり、遠藤が被控訴人の代表取締役に就任した場合は取引継続が難しくなる旨の指摘を受けたとの報告を控訴人久保田及び控訴人森原から受けており(中略)これを裏付けるように、東京東海証券からは、遠藤が反社会的勢力と過去に接点があった旨の調査報告書も提出された〉
■実際に遠藤が社長に就任した12年3月期以降、それまで取引があった三菱東京UFJ銀行からの借り入れが縮小している。また、株主名簿管理人も12年末に三菱UFJ信託からみずほ信託に移った。「ゲオのメインバンクはみずほ銀行で、三菱は準メインだったが、内紛以前から遠藤の“裏社会問題”を気にしていた。遠藤体制となったのを機に、準メインの立場を降りました。株式に関する業務も三菱証券が行っていましたが、これもみずほ証券に移っており、つまり銀行、証券一切がゲオから手を引いたということです」(関係者)。実際に16年3月期、15年3月期も借り入れはない。
■この間、遠藤の個人的な義理を発端とするインデックスへの利益供与、吉川体制での粉飾疑惑など、3度の連載で「ゲオホールディングスの闇」を報じた。多くが11年の内紛を機に噴出した問題であるが、現在も禍根は残っているのである。
(文中敬称略)
2016年6月10日付レポート:【連載】ゲオホールディングスの闇(1)遠藤社長、吉川取締役による粉飾決算「インデックス」への利益供与の過去 沢田元社長VS遠藤の訴訟資料で判明
2016年6月14日付レポート:【連載】ゲオホールディングスの闇(2)幹部が吉川社長時代の利益操作を暴露 店舗売却による〝益出し”で過去最高益達成か