【ミニ情報】東証一部ユーグレナ、バイオジェット燃料製造技術のASTM規格認証未だ取得できず


■今までにない仰々しい煽り(2017年9月期決算説明及び2018年9月期以降の成長投資戦略と経営方針について)
■今までにない仰々しい煽り(2017年9月期決算説明及び2018年9月期以降の成長投資戦略と経営方針について)

■東証一部ユーグレナがミドリムシ由来バイオジェット燃料の製造技術として採用している米シェブロンの「アイソコンバージョンプロセス技術」が、ASTM(旧・米国材料試験協会)規格の認証を未だに取得できていないことが分かった。ユーグレナの2015年12月1日付「2020年に向けた国産バイオジェット・ディーゼル燃料の実用化計画の始動について」では2017年中にアイソコンバージョンプロセス技術がASTM規格の認証を得られるとしていた。
■バイオジェット燃料製造設備の仕様変更については前回のレポートで指摘しているが、ASTM規格の件を含め、ユーグレナはこうした点について決算説明会資料などでは一切言及していない。その代りに強調されているのは健康食品事業の「成長性」である。直近の説明会資料は過年度にない真新しいレイアウトで右肩上がりの矢印が引っ張られているのが印象的だが、見逃せない一文がある。総額58億円を投じる予定の「バイオジェット燃料実証設備」(横浜市鶴見区)への投資額を「研究開発費」として“物件引き渡し日を持って一括費用計上する”というものだ。
■竣工予定は18年10月であるから、19年9月期において50億円超という巨額の費用が降りかかってくることになるわけだ。研究開発費であるならば本来発生した会計期間に計上すべきところを、わざわざ19年9月期に一括計上するという奇妙な会計処理の背景には、ストックオプション行使条件が関わっていると思われる。15年12月に決議された第5回新株予約権は、16年9月期ないし17年9月期の業績が、売上高125億円・経常利益5億円以上なら60%、売上高150億円・経常利益10億円なら全てのオプションが行使可能となる(なお、ミドリムシ由来のバイオジェット燃料を混ぜた燃料を使ったフライトが実現しなかったら半分は行使できないと定められている。つまり実現しなくても半分行使できるわけだ)。
■実際、17年9月期はM&Aによる拡大もあって連結売上高138億円・経常利益12億円を達成した。だが、将来的に研究開発費計上されることが決まっているバイオジェット燃料実証設備に関する支出が17年9月期は凡そ30億円あった。これが17年9月期に費用計上されていれば、オプションの行使条件に定められている業績目標に達しなかったはずだ。この会計処理では、理論上はユーグレナが実証設備の竣工を後ろ倒しにすればするほど、研究開発費の費用計上を遅れさせることができるわけで、恣意的な利益操作を可能にしている。

2016年12月26日付レポート:東証一部・ユーグレナ、健康食品事業の収益力低下 「バイオジェット燃料」製造設備の仕様変更に残る「謎」

2016年8月18日付レポート:アベノミクス象徴銘柄「ユーグレナ」、度重なる設備投資計画の延期 東京大学との「微細藻類の資源化」に関する共同研究は6月末で終了

2015年2月10日付:東京アウトローズ「【沖縄現地取材】 アベノミクス象徴銘柄「ユーグレナ」、ミドリムシ大量培養は本当に独自技術なのか、巨額設備投資計画の遅延判明、増資資金も不透明な債券投資に」

【ミニ情報】東証一部ユーグレナ、バイオジェット燃料製造技術のASTM規格認証未だ取得できず” への1件のフィードバック

  1. 興味深く記事を拝見致しまして、とても参考になりました。
    ユーグレナについての過去記事も納得いく内容で、神鋼環境ソリューションなどの堅実な技術力のある企業の参入などによって、今後のアベノミクスを象徴する人気銘柄(納得です)がどう動くのでしょうか?まあ健康食品部門はマルチ商法に支えられているようですが。

    本当にミドリムシが八重山殖産で生産されているのか?(クロレラ?)
    三重県の屋外施設はミドリムシの生産施設なのか?
    バイオジェット燃料工場の操業についても本気の取り組みなのか?
    等々謎が深いです。

    昨年末に、こちらも本気でどうなのか?と感じていた熊本県山鹿市の”あつまるシルク”の「2017 新シルク蚕業サミット in やまが」に、株式会社ユーグレナ取締役の鈴木氏が参加されていたことによって、こちらも益々怪しさを感じてしまいました。

    ”あつまるシルク”の事業の方も・今後も自治体や農林水産省などの補助金や助成金が多く活用される恐れのある構想と思っていましたので、この関連性に何かを感じざるをえませんが、想像の域を超えません。

    http://silk-on-valley-yamaga.jp/news/press/post18.html

    今後も貴社の追求に期待します。
    壮大な詐欺ほど信じられやすいということでしょうか?

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