【ミニ情報】テクノシステム事件から派生した公明党議員秘書「貸金業法違反事件」、政策金融公庫「口利き融資」は数百億円規模か


■東京地検特捜部が摘発した「テクノシステム」融資詐欺事件の捜査で浮上した、公明党の遠山清彦・元衆議院議員の秘書による貸金業法違反事件。特捜部は今年8月、秘書らの関係先を家宅捜索し、今月に入り遠山元議員を任意で聴取している。「元議員逮捕」は目前と見られる。
■これまでの報道を総合すると、テクノシステムは遠山が財務副大臣だった頃(19年9月-20年9月)に、政策金融公庫の融資仲介を依頼。遠山の秘書などが現金を受け取り、公庫に架電するなどして融資を斡旋した結果、20年9月までにテクノシステムにおそよ4億円の融資が実行された。当サイトは特捜部がテクノシステム事件に着手した4月に、公庫の融資が「コロナ関連貸付」であり、政治家の口利きが行われた可能性を指摘していたが、当時から遠山の名前が挙がっていた。
■この融資が回収不能であることは言うまでもないが、問題は、政策金融公庫が政治家の口利きでどれほどの不良貸付を積み上げたかである。マスコミ各社の報道では、遠山や関係者は200件~300件の口利きを実行したとのことである。公庫が財務省の審議会に提出した資料によると、中小企業向けコロナ関連融資の昨年度実績は40,369件に対し4兆2,914億円、今年度9月末時点の実績では6,869件に対し7,499億円とのことで、1件あたりの融資額は平均1億円強と推定される。すると、遠山の口利き案件だけで合計数百億円規模の融資が公庫から行われた可能性がある。
■ところで、政策金融公庫は今年8月、貸金業法違反事件に関連したテレビ朝日の取材に「どなたからの紹介でも特別扱いすることは考えられない」などとコメントしているが、これは、嘘だ。当サイトのレポートでも指摘したが、公庫では政治家の口利き案件が常態化している。政治家が口利きすれば、怪しげな先でも公金を差し出す「政治家の財布」のような側面がある。
■「遠山事務所の秘書が公庫に架電すると、公庫の担当者レベルではなく、課長クラスが必ず対応していたようだ。秘書に対しては事務方の課長、議員のカウンターパートはさらに上の役員クラスと思われる」(関係者)。過去に報道された事例では、現・自民党政務調査会長の高市早苗の実弟である秘書官が、公庫に高市の支援者が関わる法人に融資させ、多額の焦げ付きを発生させた案件がある。この案件では、融資金の大部分が使途不明金として消えていた。
■政府のコロナ支援策では「不備ループ」と呼ばれる申請のたらい回しが横行している。公庫のコロナ関連貸付でも、窓口には申請が殺到し、融資を受けるには長い時間がかかっているようだ。しかし、口利き案件は当然特別扱いされる。「議員の紹介案件であれば、当然、窓口で待たされることなどなく、迅速に融資を受けられる。コロナ関連貸付は5年間返済が猶予されるので、その間に倒産して『貰い逃げ』することも可能」(前出・関係者)である。公庫の財源は税金であり、損失は国民の税金から補填されることになる。政治家に言われるがまま、野放図に公金を貸し込んだ政策金融公庫の責任も問われるべきだ。(文中敬称略)

2021年7月21日付レポート:【ミニ情報】融資詐欺事件の「テクノシステム」、静岡県浜松市におけるバイオマス発電施設に関連し環境省から補助金4億円

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2021年4月30日付:【ミニ情報】東京地検特捜部が捜査着手「テクノシステム」融資詐欺事件、「政策金融公庫」からも不可解融資

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