■アクティビスト株主対応などプロキシーアドバイザーや、ディスクロージャーコンサルタントなども手掛けるアイ・アールジャパン(東証1部6035、社長・寺下史郎)のナンバー2にして、代表取締役副社長・栗尾拓滋は、株主には知られていない意外な〝副業〟を持っている。東京・西新橋に「保険医療総合研究所」という、2013年4月設立の医療コンサルタント会社がある。栗尾はここの取締役を、設立時から務めているのだ。
■保険医療総合研究所の代表者は増村章仁という人物。増村はヤナセ貿易、ジャガー・ジャパンLTDを経て、02年にジャスダック上場不動産会社ダイナシティ(08年上場廃止)の医療子会社「メディカルブレイン」に入社。同社取締役として、ダイナシティの医療ビジネスの現場を取り仕切っていた。ところが、ダイナシティは05年、オーナー社長が覚せい剤使用で逮捕され、メディカルブレインも07年に解散した。
■増村はその後、みらい證券に入社。子会社のコンサルタント会社「みらいエフピー」の常務取締役として、病院再建などを手掛ける。静岡県の「榛原総合病院」再生に絡む成功報酬を巡り、病院側との3年に渡る民事訴訟を展開。その最中にみらい證券を退社しており、勝訴した後の13年4月に、保険医療総合研究所を立ち上げている。西新橋の事務所には増村が理事長を務める外国人実習生の管理団体「医療介護ネットワーク協同組合」が同居している。なお栗尾がアイ・アールジャパンに入社したのは医療総合研究所設立と同じ13年4月だ。
■「栗尾さんは他にも、針なし注射器関連のビジネスに関わるなど、医療方面に意外な人脈を持っていた」(アイ・アールジャパン関係者)という。一般的に、有価証券報告書の「役員の状況」には、取締役の経歴や他社役員の兼職状況について記載してあり、経営陣のバックグラウンド等を投資家がチェックすることができる。だが、アイ・アールジャパンの有価証券報告書などには、栗尾が保険医療総合研究所の取締役を兼務している事実は記されていない。当サイトはアイ・アールジャパンに保険医療総合研究所や増村との取引について取材したが、期日までに回答はなかった。
(文中敬称略、つづく)
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