■去る10月中旬、証券取引等監視委員会と警視庁捜査二課などが、マザーズ上場ストリーム株の相場操縦の疑いで合同会社メタルバンク代表・松浦正親らに強制調査を行った事件で、捜査当局による仕手グループの実態解明が進行している。監視委の佐渡賢一委員長の任期が12月で満了となるため、事件は警視庁主導で進んでいくと思われる。
■関係者の話を総合すると、仕手グループは「3層構造」に大別できる。ひとつは相場操縦の実行部隊で、現在当サイトで把握できているのは4名。まず60代後半のA、過去に井上工業架空増資事件で、金商法(偽計)違反で逮捕された経緯がある。60代前半のBは、10年前の「日本エルエスアイカード」特別背任事件に関与していた。現在、がんで病床に伏しているとされるCも、過去に金融ブローカーとして事件銘柄に登場。こうした“現場派”を統括していたのが、松浦であるという。当局に狙われるリスクが高いのは彼らだ。
■不法行為に関与せず、あくまで金融の役割を果たすのが、名前の挙がっている佐戸康高及びDとされる。Dは当サイトで連載している上場廃止のインスパイアーを巡る問題の中で、2016年8月に破産したTNDウェアハウスが、インスパイアー株の増資引き受けや高利貸しからの調達を行う過程に関与していたとの情報がある。彼らは警察が本件捜査で狙っている金主Xのカネの運用を担っていたという。
■そして、仕手的活動の舞台装置となるストリームなどの発行体企業郡がある。同社のほかリミックスポイント、SJIなどの複数の上場企業が挙がっている。こうした中、事件に深い関係を持つと思われる朝堂院大覚は、自らの主宰する動画サイトにてストリーム事件に触れ、「松浦正親が松浦グループの代表」だと明言した。だが、Xが経営する六本木のクラブにも強制調査が行われるなど、状況からして当局はXがグループの中心だという線で捜査を進めていると思われる。
(文中敬称略)
2016年10月13日付レポート:警視庁捜査二課と監視委がマザーズ上場ストリームの相場操縦容疑で強制調査 “鉄砲取引”で株価つり上げか