【続報 第4弾】東証一部「東レ」不正会計疑惑、ソーシャルレンディング会社が「債務存在確認訴訟」取下げ、東レ側とひそかに「手打ち」か


■当サイトが連続して報じている東証一部上場、東レ株式会社(社長・日覺昭廣)の環境・エンジニアリング事業セグメント・水処理システム事業部の不正会計疑惑。東レはこの件について「警察の捜査への配慮」を理由に沈黙しているが、その裏側で特定の金融業者との紛争を密かに「手打ち」にしている可能性が浮上している。
■東レは一切開示していないが、今年2月末、架空売上の相手方であるオリエントコミュニケーション株式会社(社長・小黒康夫、以下オリエント社)に東レの債務保証付きで融資を実行した都内のソーシャルレンディング会社から、3億5000万円の債務存在確認訴訟を東京地裁に提起されていた。
■訴状等によると、ソーシャルレンディング会社は融資型クラウドファンディングで調達した資金を原資として、17年9月にオリエント社に対して3億5000万円を年利12%、18年3月を弁済期日とする約定で貸付を実行。その後、東レ、オリエント社の合意により最終的な弁済期は19年6月末となっていた。ところが19年1月、東レが「オリエント社への貸付への連帯保証債務を認めない」と主張し、訴訟提起に至ったという。
■このソーシャルレンディング会社は、オリエント社に東レ保証で貸し付けた他の金融会社に比べ融資実行の時期が早い。一連の取引を担当し、昨年11月に懲戒解雇された水処理システム事業部長のF(イニシャル)に、オリエント社との取引関係を委任する日覺昭廣による「委任状」の日付は17年9月15日付である。さらに、委任状に添付された印鑑証明書の日付は17年6月29日で、Fが事業部長に就任する前に発行されたものであった。
■このような背景から、「事業部長F単独による私文書偽造」を主張する東レにとって、ソーシャルレンディング会社との取引は都合の悪い事実が多く、訴訟の成り行きがこの不正会計疑惑で重要な位置付けをもっていた。ところが今年5月、原告のソーシャルレンディング会社が突如、訴訟を取り下げたのである。
■一般的に、ソーシャルレンディング会社はプロジェクトごとにファンドを組成し、事業等から得られる金利収入を原資に投資家に分配する。過去に当サイトが指摘した「JCサービス・グリーンインフラレンディング事件」のように、他のファンドから資金融通をしてもらい分配することは原則的にしてはならない。デフォルトしたならば、その状況を投資家に報告することとなる。
■オリエント社に融資したソーシャルレンディング会社は、直近でオリエント社のような事業会社への融資がデフォルトした、というような報告を公表していない。つまりオリエント社への貸付は最近、返済されたはずである。
■しかし、オリエント社は昨年中頃から金融業者への支払いができず、自転車操業状態に陥っている。オリエント社が独自に資金調達し弁済に充てたとは考えられない。可能性が高いのは、東レが訴訟取り下げと引き換えに、直接・間接的にソーシャルレンディング会社へ秘密裏に返済を行ったということだ。
■前述の通り、東レはこの事案について「警察の捜査」を理由に一切の情報開示を行っていない。「刑事告訴した元従業員の人数は1人か?」という質問にさえ、「今後の捜査に影響を与える可能性がありますので、回答を差し控えさせていただきます」と述べる。
■もし、その裏で、特定の債権者と「手打ち」し事態の収拾を図っているならば、不正会計を隠蔽するために捜査当局を悪用していると言わざるを得ない(つづく)。
(文中敬称略)

 

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