【ミニ情報】東証2部プロスペクト巡るプロキシーファイト、「インサイダー取引」嫌疑の伸和工業が「Jトラスト」藤澤と野合


■今年1月、東証2部プロスペクト株の売買を巡り、証券取引等監視委からインサイダー取引の嫌疑で強制調査を受けた大株主の伸和工業・西村浩が、金融グループ「Jトラスト」の藤澤信義を担ぎ、プロスペクトの経営支配に乗り出している。西村は昨年からプロスペクトの実効支配を目論み、臨時株主総会の開催を要求していた。強制調査を受けた後、藤澤が市場でプロスペクト株を取得、西村と共同保有となり、4月22日付の大量保有報告書では合わせて18.89%となった。
来る6月1日に予定されている臨総での株主提案として、西村は藤澤を筆頭に東証2部フォーサイド会長の泉信彦や、アドアーズ社長の齋藤慶など、藤澤系の人物の取締役選任を求めている。もしこれが可決された場合、藤澤の個人会社に持株を譲渡する予定。インサイダー報道を受け、コンプライアンス上、西村による独自の経営支配が難しくなる中で、藤澤と野合して捨て身の作戦に出たと見られる。
■そのような背景事情のためか、取締役候補の人選はかなり拙速に決めらたようだ。臨時株主総会で取締役候補となっていた弁護士の浜田卓二郎は適時開示が出た5月15日、「当該臨時株主総会を招集する株主から事前に何ら説明等を受けていない」と表明。おそらく、藤澤の介入から臨総まで時間がなかったため、就任承諾を取らずに役員に推したと思われる。だが、西村が提出した株主提案書の議案には、承諾を得ていない旨は記載はされていない。これではプロスペクト株主は、誰が承諾を得ていて、誰が承諾を得ていない役員候補か分からないまま議決権を行使することになる。
■プロスペクトと同様に、Jトラストではなく藤澤個人が筆頭株主となった企業に、ジャスダック上場SAMURAI&J PARTNERS(旧デジタルデザイン)がある。同社は最近、クラウドファンディング事業を開始し、インドネシアのJトラスト銀行向けのローンファンドを組成している。これはシンガポール子会社J Trust Asiaを経て、Jトラスト銀行に劣後ローンを供給するもので、赤字拡大の一途であるJトラスト銀行の自己資本を補強する苦肉の策と見られる。プロスペクトが藤澤傘下となれば、経営資源をJトラスト系に向けざるを得なくなるのではないか。
■プロスペクトの一部株主には、藤澤の経営手腕に期待する向きもあるようだが、当サイトがこの間報じている通り、近年のJトラストはタイやインドネシア投資で巨額損失を連発しており、ライツオファリングで調達した1000億円の大半を短期間で消失させている。
(文中敬称略)

2020年5月7日付レポート:金融グループJトラスト、アジア投資の「負の連鎖」(2)インドネシア「Jトラスト銀行」の泥沼 黒字達成の裏に「不良債権の山」

2020年4月30日付レポート:金融グループJトラスト、アジア投資の「負の連鎖」(1)タイ転換社債「Gloup Leas」で訴訟戦術が裏目、短期利益追求で巨額損失 中経を重視か

2020年3月17日付レポート:金融グループ「Jトラスト」の誤算 シンガポール高等裁判所で露呈した粗略な意思決定 財務分析なく巨額投資を実行か

2019年10月1日付レポート:【ミニ情報】ジャスダック上場SAMURAI&J PARTNERS、融資先から証券子会社がコンサルフィー徴収 利息制限法を潜脱か

2018年6月26日付レポート:【ミニ情報】ジャスダック上場KeyHolder、「秋元康関与」のインサイダー情報事前漏洩、「情報伝達・取引推奨規制」に違反か

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です