【ミニ情報】東証2部「光陽社」MBOに食い込む個人株主に「村上世彰」の影


東証2部上場の製版業、光陽社(文京区、社長・犬養岬太)が今年3月上旬に実施したMBOが暗礁に乗り上げている。当初買付価格は935円だったが、同社株は3月22日から買付価格を上回って推移。買い手の犬養らのビークルは価格を1060円に引き上げ、5月14日まで延期している。1度目の買付期間が過ぎた4月下旬、植島幹九郎なる個人が大量保有報告書を提出し、信用取引により同社株を約2割保有していることが明らかになった。植島の存在がMBOの課題となっている可能性が高い。
植島はカラーコンタクト企画販売会社を経営しており、東京大学在学中から理系学生の就職支援事業「理系ナビ」を立ち上げる等、起業家としてのキャリアがあるようだが、光陽社の製版事業との関連は見受けられない。植島は、アクティビストとして知られる村上世彰と関係が近い。村上は、一昨年の東証1部広済堂のMBOに外部から介入していったが、光陽社における植島の立ち位置はそれと似通っているように見える。
■光陽社のMBOを巡っては、3月下旬に約5%の大量保有報告書を提出したサイブリッジ合同会社が、TOB価格が不当に安いと主張している。光陽社の直近の自己資本は約22億円であるのに対し、当初の買付価格935円だと光陽社の時価総額は約13億円となり、簿価純資産を下回っている。直近の株価も修正後の買付価格1060円を上回っているため、買い手の犬養やそれを支援する商工中金は苦戦を強いられそうだ。
(文中敬称略)

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