■全国でバイオマス発電所を運営する東証1部エフオン(社長・島﨑知格)が、売電単価を不正操作していたという現役社員の内部告発を受け、当サイトは4回にわたり追及記事を展開してきた。あらゆる証言や客観的証拠が、売電価格の不正操作を裏付けているが、未だエフオンは「不正は調査済み」として、再調査をせず押し切ろうとしている。だが、エフオンが依拠する不正調査は、経営陣による口裏合わせと、内部通報者の〝横領疑惑〟がでっち上げられるという環境で行われた、まったく実効性はないものである。
■エフオンはこの間の開示で、なぜ昨年に調査委員会が設置かを誤魔化しているが、事実は、現役社員による内部通報を受けたからである。エフオンはこれを受け、昨年7月17日の取締役会で、通報事案を監査役で構成される調査委員会で調査すると決議。だがその前日の7月16日、島﨑は、常務の小池久士、取締役の藤井康太郎などの経営幹部、各発電所の所長を緊急招集していた。
■「ちょっと好ましからぬ動きがある。この場限りで、向こう一週間は口を噤んでほしい。いいな?」…開口一番、島﨑は居並ぶ幹部に念を押し、燃料サンプルの不正について内部通報の経緯を明らかにした。そのうえで、静まり返る一同にこう言い聞かせた。
これは事実ですかというと、そんな指示をしたことはもちろんないよね。ネタでは散々そういうことを俺は言うよ。だからユウ(佐藤祐二・新宮発電所準備室室長)にも、建廃の漬け物をつくれ、家でおかずにできるぐらい、の話はよく言うけれど。かといって、それを本当にやるやつはいないよね、どう考えても。
■既に報じた通りエフオンでは、燃料サンプルの含水率を不正操作しなければ達成できないバイオマス比率を前提として、予算が組まれている。未達だと全社会議で追及を受ける。ついひと月前の会議で島﨑は、「マジックハンド」でバイオマス比率を操作するよう指示し、抵抗を示す社員に対して「猿でも教え込めばできる」と、侮蔑的な表現を持って、不正を敢行するよう追い込んでいたではないか。島﨑の発言は、「冗談だった」と言い逃れるための、口裏合わせに他ならない。
■さらに島﨑は、社員がなぜ内部通報をしたのか、独自の推理を披露し始める。内部通報した社員には最近、異動の辞令が出ており、これによって燃料の仕入れ業者からの「キックバック」が露見することを恐れて内部通報に及んだ、との自説を展開したのだ。
だから、急に正義に目覚めたりしないんだよ。目覚めるんだったら、それを知った時に目覚めてくれないとおかしいし、『かれこれ、それを実は2~3年やってきました。今日、変だと思いました』、そんなはずはない。だから目覚めるには目覚める理由があるわけで、目覚める理由は異動でしかないので。だとするとなんでその異動がそんなに嫌なの?だからこれは多分異動そのものが嫌というよりも、ここはきっと観念しているので、異動をするまでの時間を稼ぎたいだけだと思うんだよね。だからこっからあと何日あればいいのか分からんけれど、ケツを入れる、幕を引く。足跡にほうきを入れることをしたいんだと。だからそれをやること、あるいはそもそもなんでそういうことに手を染めたの?それは俺には分からない。けれど、それを一定程度、やり始めて、それなりに後に引けない様な状態になっちゃったんだろうな。
■ここで幹部の一人が、「証拠みたいなものはあるんですか」と聞くと、
口に出しては言えない証拠があるよ。状況証拠はいくらでもある。およそここだねという先もあからさまに見当がついてしまうという。それが5社か6社かあるんだけどね。わかりやすい話だよ。だって壬生が去年から燃料を買い始めただろ? 壬生の分だけ高いわけだよ、白河と比べて。高い分というのにトン数を掛け算した金額というのは、こんな感じという部分がもしあいつの預金残高としてあったとしたら相当不思議だろ? だから俺は悪いけど、性格がひねくれているので偶然を信じないたちなんだよ。全てが偶然ですと。だから異動のタイミングでたまたま急に正義に燃えたったのは偶然ですと。急に小銭がたまったから偶然ですと。なおかつ、特定の業者だけ取引条件が業者さんにとって好都合な値上げという形になっていた。それも偶然ですと。
■さも、確証を得ているかのような口ぶりである。しかし、完全なでっち上げであった。この発言を真に受けた小池常務は昨年7月下旬、内部通報者が業務で接する取引先を訪問し、「横領疑惑の調査」として、取引に不審な点が無いか聞き取りを行ったという。だが、業者から疑惑を完全否定され、小池が恥をかいただけに終わった。結局のところ、内部通報の信用性を貶めるための作り話であり、経営陣の集まる正規の会合で話された以上、内部通報者に対する名誉毀損でもある。
■さらに、イエスマンに囲まれ気を良くしたのか、島﨑は、毎月1度のサンプル提出について「要は、あれって法律上は月に1回、サンプルを採ってそれを出しなさいねと言っているだけだから、それ以上でも以下でもないんだよね」と話し、不正操作を〝正当化〟し始めた。常務の小池が「ちなみに乾いたのと濡れたのがあったら乾いたほうをやるかということは、それは裁量権なんで、それは決して不正ではない。当たり前」と合いの手を入れると、島﨑は「裁量権というか、要は現在の月に1個を出しなさいねという以上のことは何一つ定められていないので、それをもって不正というのは、大きなお世話ってやつだ」と言い聞かせていた。
■口裏合わせと不正の正当化、内部通報者を犯罪者に仕立て上げる情報操作―――島﨑がこの〝謀議〟を招集したのは、翌日の取締役会で、監査役による調査委員会が設置されることを知りえていたからだろう。調査期間にこうした謀議を催すと差し支えがあるので、直前に「不正指示はなかった。不正があったとしても、社員が勝手にやったことだ」というコンセンサス作りをしておこうという魂胆があったに違いない。
■そもそもなぜ、内部通報者の素性が経営陣に知れ渡り、横領疑惑をでっち上げられ、名誉毀損の被害を受けることとなったのか。本来、内部通報制度は通報者の匿名性が担保され、報復を受けないような配慮がなされなければならない。エフオンの内部通報者は当初、社外取締役の佐古麻衣子(弁護士、桜田通り総合法律事務所)に不正の事実を知らせていた。その結果、内部通報制度を利用するよう勧められたという。だが、内部通報窓口は、7月16日の謀議にも参加した、島﨑の腹心の管理部の社員によって担われていた。
■7月16日の謀議では、約30分間、ひたすら口裏合わせと、内部通報者の名誉毀損と、燃料サンプル不正操作の正当化が語られ、散会直前、島﨑は出席者にこう念押ししたという。
今言ったことは、死んでも、親にも言うんじゃない
■エフオンでは、トップの島崎だけでなく、幹部がそれぞれの立場から不正や隠蔽工作に加担している。これは古参のボードメンバーに限らない。今月末に予定されている株主総会で新任予定の佐藤祐二も、大分県「日田発電所」の所長を務めていたころ、不正を指示していたという。エフオンの経営陣は、売電価格不正により、国民から再エネ賦課金を詐取するという「暗い過去」を共有した面々に支配されている。だからこそ、不正問題に対して、客観的な調査を拒み続けているのだろう。(文中敬称略、つづく)
2021年8月25日付レポート:【続報 第四弾】売電価格「不正操作」の東証1部エフオンで広がる疑念、大分県「日田発電所」でも不正の兆候
2021年8月20日付レポート:【続報 第三弾】「マジックハンドを使え」--バイオマス発電の東証1部エフオン、現役社員が暴露する売電価格「不正操作」の実態
2021年8月16日付レポート:【続報】売電価格「不正操作」で内部告発の東証1部エフオン、反論リリースを公表
2021年8月13日付レポート:バイオマス発電所の東証1部エフオン、売電価格「不正操作」を複数の社員が内部告発 NHK『クローズアップ現代』が報道
お世話になってます。あの、何度も何度も言いますけど、含水率の操作だけで、詐欺が出来るわけないじゃ無いですか。まず、根本的に、年間1000台以上の建築廃材は、どうやって、隠して、手に入れたのか?アウトサイダーズレポートさん、含水率の話から、全然前に進んでなくて。不正をしたのであれば、一気に暴いたらいいのに。僕は、バイオマス発電がマネーゲーム状態になって、憂えてるんですよ。(もしかしたら、社長がワンマンだ!という話なんですかね?)
これ絶対ダメな奴~
エフオンの不正を憂う社員の会ブログ
https://magic-hand.hatenablog.com/