【ミニ情報】詐欺的ソーシャルレンディング「JCサービス事件」最終章 民事再生手続から一転、破産へ


■融資型クラウドファンディング(=ソーシャルレンディング)大手、maneoマーケットのプラットフォームを通じておよそ200億円もの資金を集めたものの、実態はポンジスキームで、政界筋への資金流出が発覚し、債務不履行となっていたJCサービス・グリーンインフラレンディング事件に新展開。今年5月末に東京地裁が民事再生手続の開始決定を出していたJCサービス(社長・中久保正己)が、一転して破産手続きに入ったことが分かった
■JCサービス子会社のグリーンインフラレンディングは、maneoのプラットフォームを通じて集めた資金をほぼ全額、資本関係のないエスクロー・ファイナンスを介して、JCサービスや同社のビークルに貸し付けていた。JCサービスは太陽光発電事業で投資家に元利金を返済するとしていたが、実際は、別名目で集めた資金で返済していた。またJCサービスは政界フィクサー「大樹総研」に業務委託費、コンサル料名目で5億円を超える支払い、細野豪志に選挙資金5000万円を融通するなど、不透明な資金運用の実態があった。
■当サイトは18年5月、JCサービス・グリーンインフラレンディングが元利金を募集資金で返済しているポンジスキーム状態であると指摘した。当初、JCサービスはポンジスキーム疑惑を否定していたが、同年6月にJCサービスは募集停止となった。
■JCサービスはポンジスキーム状態であることから慢性的に資金難に陥っており、グリーンインフラレンディングだけでなく、高利貸しなどからも資金調達をしていた。そうした債権者の一つであるベアハグは今年、JCサービスに破産申立をかけたが、JCサービスは同じころ、民事再生手続きを東京地裁に申請し、紙一重で再生手続開始決定を得た経緯がある。
■JCサービスは民事再生申立書の中で、破産となってしまえば、開発途上の案件をたたき売りせざるを得ず、ソーシャルレンディング投資家のためにならない、との主張を展開している。だが、だが当サイト既報の通り、中久保はここ数年間、債権を二重譲渡したり、資産を外部に隠匿していると疑われるような取引を行っていた。現実には、中久保の手によってソーシャルレンディング投資家の権利はないがしろにされている。
■グリーンインフラレンディングとJCサービスに介在するエスクローファイナンスは、JCサービスへの貸付の担保として、JCサービスや同社のビークルが持つ、再エネ案件の開発権や不動産に質権を設定していた。ところが、現在、破産手続きに入っているグリーンインフラレンディングの破産管財人の報告書によると、質権が設定されていて、エスクローファイナンスの同意なく第三者に譲渡できない設備IDの大半が、第三者に譲渡されていたという。
■当サイトが指摘した問題の「松川案件」でも、エスクローファイナンスの担保に入っていた債権が、港区の「G社」(イニシャル)に譲渡されている。JCサービスの管財人によると、そもそもJCサービスには現在、開発途上の案件はないという。中久保は民事再生で何を狙っていたのか。破産管財人の調査で今後、中久保によるこうした「乱脈経営」の実態が明らかになる可能性が高い。(文中敬称略、つづく)

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