野村證券でまた詐欺事件 船橋支店営業マンが担当顧客を詐欺話に勧誘、運用資産の大半が被害 野村は「警察に相談」


■事件のあった野村證券船橋支店
■事件のあった野村證券船橋支店

■野村證券(社長・森田敏夫)の営業マンが、担当する顧客に詐欺話を紹介し、野村證券の口座で運用していた資金を投資させ、顧客が詐欺被害に遭う事件が船橋支店で発生している。詐欺話は野村證券元社員が作り上げたもので、複数の現役社員が関与していた。問題の船橋支店営業マンは複数の担当顧客に詐欺話を勧めていたことも分かった。
■被害に遭った千葉県八千代市の男性顧客は、大手化学メーカーを早期退職し、2015年頃から退職金と相続財産を野村證券で運用していた。しかし昨年10月26日朝、男性顧客の元に突然、船橋支店の担当者であるS(イニシャル)が現れる。Sは顧客の担当となった18年4月に電話でやり取りして以降、この日まで自宅に招いたことはなく、実質的な初対面であった。
■Sは自己紹介を済ますと、「最近は新規上場や公募増資などの案件が無いので、今日は別の案件をご紹介いたします」と申し出て、その場に㈱Foresightの中村成治を呼び出した。中村は慶應大学法学部卒業で、元野村證券社員とのことで、男性顧客に口頭で投資を持ち掛けた。長年の取引関係から野村證券というブランドを信じ、その場で3500万円の投資を承諾してしまう。
■後に中村から送付された〈融資斡旋スキーム商品概要〉というペーパーには〈日本政策金融公庫の融資を使ったコンサルティングフィーを収入の基盤とする〉として、1カ月の運用なら2~4%、3カ月なら6~12%の金利が得られる、と記されている。この日、妻と旅行に出かける予定であった男性顧客は、言われるがままに投資を承諾し、旅の道中でSに指定された口座に送金を実行してしまう。
■この日から約2か月間、Sは男性顧客の自宅を度々訪れ、「金利」と称して数十万円の現金を手渡ししながら、投資額の増額を提案。12月末までに野村の口座で運用していた資産のほぼすべて、約7000万円を投資させた後、1月初めにSは「転勤」を理由として、この取引から離脱する。それから1カ月後の2月初め、中村は自殺を装って逃亡を企てるも、間一髪で別の詐欺被害者に確保され、詐欺が露見した。
■中村が“自供”したところによると、〈融資斡旋スキーム〉の実態はなく、まったくの詐欺話だった。〈元本保証〉と投資を謳いながら、契約書は金銭消費貸借契約なのは、露見したときに刑事責任の追及を逃れるためだろう。詐取した金は、個人的な負債の穴埋めや、六本木の高級クラブの遊興費に費消された模様だ。一説によると、中村は六本木界隈で「シャンパン王子」と呼ばれるほど豪遊を重ねていたという。中村は5月頃に弁護士を立て、現在は債務整理に入っている。
■そして、中村が“逃亡”を企てる直前にフェードアウトを決め込んだ野村證券のSは、男性顧客の問い合わせにより実は「転勤」などしていなかったことが発覚する。すると確認の電話が入ったその日、Sが男性顧客の自宅を訪れ、不在であるにも関わらず周囲を徘徊するという事態が発生したという。口封じを図りたかったのだろう。案の定、Sは男性顧客に「自分は何も紹介していませんし、関係ありません」と述べている。
■さらに驚くべきは、詐欺が露見した後の4月、Sの先輩で野村證券船橋支店営業マンのT(イニシャル)が、男性顧客の自宅で、詐欺被害の救済のために更なる投資案件を持ち掛けていたことである。Tは「土地転がしとFXと金の運用で、1000万円から2000万円の投資に対して毎月5~10万円の配当を出す」と述べていた。
■おそらくこれも詐欺話であろう。Tも中村の投資被害に知人を巻き込んでおり、弁済する必要に追われていたという。そこでSから、この男性顧客は騙されやすい性格であることを聞きつけて、二匹目のどじょうを狙いに行ったと思われる。詐欺師の発想そのものだ。
■実は、中村と船橋支店のSやTはいずれも20代後半の同世代である。Tと中村は同時期に近畿地方の支店に配属されていた。八千代市の男性顧客以外の被害者は千葉県と近畿の一部地域に集中しているようである。中村が、野村證券の営業支店網を利用して、多数の投資家に詐欺を仕掛けたものと思われる。船橋支店の男性顧客の場合は、形式的には詐取金は中村の関係口座に振り込まれているが、実際の勧誘は野村證券社員により担われている。信頼している営業マンが詐欺師を紹介するのだからたまったものではない。
■当サイトは6月下旬、男性顧客と共にSに接触し、事実経過の取材を試みたところ「弁護士が来ないと話さない」と拒絶。野村證券船橋支店は事案の詳細を確認中である。野村ホールディングスは当サイトの取材に対して「警察に相談しておりますので、コメントを控えさせていただきます」と回答した。この事案には野村證券社員同士の複雑なネットワークが背景にあり、追って報じていきたい。野村證券の営業マンを巡っては、当サイトが報じた東京支店営業マンによる詐欺事件北九州支店の営業マンによる「ダマ転」事案など、詐欺そのものか、詐欺まがいの行為が相次いでいる(つづく)。

(文中敬称略)

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2016年11月4日付レポート:【続報】野村証券詐欺事件 当サイト等の指摘を受け、野村が社員の詐欺行為について注意喚起を開始

2016年10月13日付レポート:【続報】野村証券詐欺事件 会社は被害顧客の救済しない方針を伝達 「社員の個人的問題」として処理か

2016年10月7日付レポート:野村証券東京支店の営業マンが多数の顧客から金銭詐取 IPO株購入名目で被害総額は数億円規模か 野村は「警察に相談」

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野村證券でまた詐欺事件 船橋支店営業マンが担当顧客を詐欺話に勧誘、運用資産の大半が被害 野村は「警察に相談」” への1件のフィードバック

  1. もっと闇があります。
    永井さんが公表した顧客のマス、富裕層、法人、マスは電話対応のみとか適当にあしらっておく方針です

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