【続報 第七段】国民から再エネ賦課金を詐取する東証1部エフオン、筆頭株主・日本テクノと東陽監査法人の〝共犯関係〟


■売電価格「不正操作」の内部告発がされているバイオマス発電所運営会社の東証1部エフオン(社長・島﨑知格)は去る9月28日、報道後、初めてとなる定時株主総会を開催した。エフオンは当サイトの報道に対し、当初は一切の事実関係を否定するリリースを出していたが、続報が出ると一部を認めるなど中途半端な対応に終始。総会では当然、不正問題について質問が相次いだが、島﨑は具体的な回答を一切行わない「黙秘戦術」の構えで乗り切った。電気料金を支払うすべての国民が関係する社会問題の当事者であるのに、だんまりを決め込むという、上場企業としては最悪の対応となった。
■通常、ガバナンスが有効に機能している会社では、不正の疑義が持ち上がると、取締役会とは独立した社外取締役や監査役が不正事案を調査するなどの自浄作用が働くものである。しかしエフオンでは、島﨑を中心とした経営幹部が口裏合わせし、内部通報者に「横領疑惑」の濡れ衣をきせるなど、公益通報者保護法に違反した報復行為が罷り通った中での「形だけの調査」が行われた。社外取や監査役は機能不全の「お飾り」となっている。
■そうなると、歯止めをかけることができるのは監査法人、あるいは最高決定機関である株主総会ということになる。これまで述べた通り、エフオンの純利益の1割近くは売電価格不正操作により盛られた可能性が高く、金額的重要性がある。だが会計監査人の東陽監査法人(業務執行社員・桐山武志公認会計士)は、事実上の「お墨付き」を与える監査報告書・内部統制報告書を提出した。株主総会での現経営陣の賛成比率は平均98%で、エフオン株式の32%を持つ筆頭株主の日本テクノ株式会社(社長・馬本英一)が、説明責任を果たさない島﨑を容認・支持している可能性が高い
■なぜこの2者は、国民から再エネ賦課金を詐取するようなエフオンの経営陣に加担しているのか。実は、日本テクノと東洋監査法人はエフオンの経営陣にとって中立的とは言い難い。10年前、エフオンが実施した〝会計操作〟に協力しているからだ。
■2010年頃、当時のエフオンは、毎期10億円の経常損失を出す慢性的な赤字体質により、銀行からの借入金に関して財務制限条項に抵触、継続企業の前提に関する注記(=GC注記)が点灯し、倒産か、上場廃止かの瀬戸際に瀕していた。バイオマス発電所の設備投資のため、巨額の借入が必要なエフオンにとって、コベナンツヒットは致命傷となる恐れがあり、解消は至上命題となっていた。
■そこで取り組まれたのが、今回の売電価格不正操作の舞台となった白河発電所の運営会社・白河ウッドパワー(現・エフオン白河)の連結除外である。当時は、固定価格買取制度が始まる前で、白河ウッドパワーは売上高約8億円に対し、3億円弱の赤字を垂れ流していた。2010年6月期は設備の減損により、1,177百万円の債務超過となっていた。これを連結から外すことで連結損益のマイナスを軽減させることが求められた。
2010年9月、エフオンは、白河ウッドパワーを東京電力とソニーの合弁会社である「サスティナブルグリーンパワー」に売却することを目的とした「覚書」を締結し、売却準備に入った。この時の譲渡予定額は9億円とされ、債務超過の白河ウッドパワーを譲渡できれば、多額の売却益を計上できる。そのことへの期待感から、10月にはコベナンツヒットが一部解消された。譲渡は11月にも実施される手はずだった。
■ところが予定の11月となっても売却は敢行されず、ついに2010年12月末、白河ウッドパワーの売却が「白紙」となる。2011年6月期を半年後に控え、白河ウッドパワー連結除外の計画と、それによる財務改善は宙に浮いた。
■そこで手を差し伸べたのが日本テクノである。11年2月、エフオンは、日本テクノに白河ウッドパワーの全株式を1億円で売却すると同時に、日本テクノへの第三者割当増資を実施し、476百万円を調達するとした。後に白河ウッドパワーの譲渡株式の割合は50%となるが、エフオンは監査法人を説得し、連結除外を敢行した。
エフオンは2011年6月期第3四半期(11年1月~3月末)、売上48億円に対し-13億円の赤字で、債務超過に転落していた。しかし、-1,177百万円の債務超過だった白河ウッドパワー株式の半分を5000万円で譲渡し、持分法適用会社として連結から除外したことで、第4四半期に株式譲渡益が469百万円計上され、特損が減少。これと合わせて、日本テクノへの476百万円増資により、194百万円のわずかな資産超過を維持したのである。これにより11年11月に財務制限条項を、12年8月にGC注記を解消した

(百万円) 08年6月期 09年6月期 10年6月期 11年6月期
売上高 14,926 11,896 6,500 6,453
経常利益 -1,017 -1,454 -989 130
当期純利益 -1,115 -4,114 -2,870 -1,143
純資産 7,533 3,598 737 195
総資産 37,644 23,075 19,341 13,553

■だがこの〝回復劇〟が、適切な会計ルールに則ったものかは疑義がある。白河ウッドパワーの売却は「形だけ」のもので、恣意的に連結除外し、債務超過を逃れているからだ。「連結財務諸表に関する会計基準」(7の(2))では、持分が40%以上・50%以下保有している場合でも、意思決定機関を支配していたり、財務及び営業などの重要な契約、資金調達を支配していると、子会社と判定されることがある。
■白河ウッドパワー連結除外後のエフオンの持ち分は50%である。連結除外した後も、白河ウッドパワーの社長は引き続き、エフオン常務取締役の小池久士であった。そして、白河ウッドパワーが銀行と契約していた借入金に関するデリバティブ取引も、エフオンが債務保証していた。人的にも資金的にも、エフオンの支配下にあったことは間違いない。
■そして、ほとぼりが冷めた2013年7月に、エフオンが白河ウッドパワーを日本テクノから買い戻している。譲渡価格は売却価額の2倍の1億円である。実質的に、白河ウッドパワー連結除外の見返りに、5000万円を上乗せして買い戻したと言っていい。このような形だけの連結除外を容認し、監査報告書を書いてお墨付きを与えていたのが、東陽監査法人なのである。つまるところ、エフオンの回復劇は、日本テクノ、東陽監査法人の3者の〝共演〟により成しえたものである。
■白河ウッドパワーの一連の取引が行われた最中、日本は東日本大震災と福島第一原発事故に見舞われ、エネルギー政策が再生可能エネルギー普及に舵を切ると共に、固定価格買取制度(FIT)がスタートした。これで救われたのがエフオンである。以後、白河発電所などのバイオマス発電所はFITにより収益化し、エフオンの財務は健全化していった。
■エフオンはFITで九死に一生を得たわけである。しかしこの間、当サイトで述べた通り、島﨑をはじめエフオンの経営陣は、売電価格の不正操作により、FITを冒涜にしているのだ。エフオンの身勝手な行動が、FITひいては再エネセクター全体の信用を毀損している。「忘恩の徒」とはまさに、エフオンの経営陣のことを言うのである。(文中敬称略)

2021年9月27日付レポート:【続報 第六弾】国民から再エネ賦課金を詐取する東証1部エフオン、新任取締役も売電価格「不正操作」を指示していた

2021年9月15日付レポート:【続報 第五弾】国民から再エネ賦課金を詐取する東証1部エフオン、「今言ったことは死んでも親にも言うな」――調査前日の口裏合わせ 呆れた謀議

2021年8月25日付レポート:【続報 第四弾】売電価格「不正操作」の東証1部エフオンで広がる疑念、大分県「日田発電所」でも不正の兆候

2021年8月20日付レポート:【続報 第三弾】「マジックハンドを使え」--バイオマス発電の東証1部エフオン、現役社員が暴露する売電価格「不正操作」の実態

2021年8月16日付レポート:【続報】売電価格「不正操作」で内部告発の東証1部エフオン、反論リリースを公表

2021年8月13日付レポート:バイオマス発電所の東証1部エフオン、売電価格「不正操作」を複数の社員が内部告発 NHK『クローズアップ現代』が報道

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