【続報】野村證券詐欺事件、兵庫県警姫路署が元社員を逮捕 「動機」に謎残る


■事件のあった野村證券船橋支店
■事件のあった野村證券船橋支店

8月22日、兵庫県警姫路署が、野村證券元社員・中村成治を詐欺の疑いで逮捕した。中村は、当サイトが6月18日付で報じた千葉県・船橋支店営業マンによる詐欺事件の主犯である。署の発表によると中村は今年4月下旬、姫路支店時代の担当顧客の男性から、株取引名目で現金560万円を詐取したという。一般的に詐欺事件は被害相談から立件まで長い年月がかかるが、数カ月という異例のスピードでの逮捕となった。
■中村は昨年4月頃から今年の1月末頃までにかけて、知人の野村證券社員の担当顧客に詐欺商品を提案し、多数の顧客から金をだまし取っていた。2月に自殺を装って逃亡を企てたが失敗し、5月に弁護士をつけ債務整理の準備に入っていた。この事実経過を踏まえると、姫路署の扱った事件は、当サイト等がこれまで報じた案件とは事情が異なる。
■今年2月に逃亡に失敗した時点で、中村の詐欺の動機は、生活資金を得るためや“高跳び”への備えとは違ったものとなっていたと思われる。詐取した直後の5月上旬に債務整理に入っているのも不可解だ。この時期は逃亡を諦め、「シャンパン王子」と呼ばれるような豪遊も控えていると思われ、詐取金はどこへ消えたのかという疑問が残る。
■この点、野村證券船橋支店の社員で、複数の担当顧客に中村を紹介していたT(イニシャル、元高槻支店)が、詐欺発覚後の今年4月、中村に7000万円を詐取された男性に、架空である可能性が高い詐欺商品を提案していた事実がある。自分が抱えていた被害者への弁済に窮したためと思われる。こうした背景から、2月以降の中村による詐欺の動機は、これまで詐欺に協力させた野村証券社員の「共犯者」などに迷惑をかけないために行った可能性がある。
■野村ホールディングスは中村の逮捕を受け「当社元社員の逮捕について」と題するリリースを出し、〈お客様への被害拡大防止の観点から、2019年7月2日に注意喚起を行うとともに、警察への相談、協力も行ってまいりました〉〈警察の捜査に全面的に協力していくとともに、法令等遵守の徹底および高い職業倫理の醸成に努めてまいります〉などと誠意ある対応をしたように述べている。しかしその裏では、詐欺案件を顧客に紹介した営業マンS(イニシャル)の足取りなど、自社の都合の悪そうな事実を被害者に対して開示していない。
(文中敬称略、つづく)

2019年7月19日付レポート:【続報】野村證券詐欺事件、船橋支店のほか名古屋、高槻支店の顧客も被害 本店勤務の社員も詐欺に加担

2019年6月18日付レポート:野村證券でまた詐欺事件 船橋支店営業マンが担当顧客を詐欺話に勧誘、運用資産の大半が被害 野村は「警察に相談」

2018年4月9日付レポート:【ミニ情報】野村証券営業マンが「過当取引」、70代顧客が提訴 短期間で資産の大半消失、損失の3割は「手数料」

2017年3月13日付レポート:【ミニ情報】ジャスダック上場ナガセ、破綻したFC加盟企業経営者は永瀬社長の「野村証券時代の先輩」 最上恒産会長らから13億円詐取で有罪

2016年11月4日付レポート:【続報】野村証券詐欺事件 当サイト等の指摘を受け、野村が社員の詐欺行為について注意喚起を開始

2016年10月13日付レポート:【続報】野村証券詐欺事件 会社は被害顧客の救済しない方針を伝達 「社員の個人的問題」として処理か

2016年10月7日付レポート:野村証券東京支店の営業マンが多数の顧客から金銭詐取 IPO株購入名目で被害総額は数億円規模か 野村は「警察に相談」

2016年6月1日付レポート:野村証券が上場ゴール「Gumi」担当者を左遷 役員コース「京都支店長」から「お客様相談室長」に(一部訂正)

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